第8章 スキルアップ
一気に3着も少し背伸びしたものを買うのはちょっと気が引ける。収納もそんなにないし…。
せめて2着が限度だな、と下着を買うことにしたけれどなかなか決まらない。決まらないなら決めて貰うのはどうだろう?という考えに至った。
一度商品を置き、携帯を出してLINEを確認した。出かける前に送ったメッセージに返事が来ていた。
"気を付けて来いよ、あとプリンね!"とプリンを要求されていた。パシリに使うなと言いたい。任務帰りにコンビニで買ってくれば良いのでは…と思いながらも追加でメッセージを送った。
『"了解、種類指定無いなら最初に目に入ったプリンにするよ?それから一つ聞きたいんだけれど、悟は黒と青と紫、ふたつ選ぶとしたらどれ?"』
そのトーク画面で、既読が間もなく付いて、シュポ!と軽い音と共に返事が書かれている。任務はどうした、既読着くのが早い上に返事が早いんだけれど。
"焼いてるのとかプッチンじゃなくてとろけるやつね。カラメルソースは絶対ありで!
僕は黒と青が良いけど何?愛を試されてんの?"
まあ、何の色だなんて言わなきゃ不思議に思うよね。何が、なんて私からは言えないけれど。言ったら言ったで大変な事になるだろうし。
少しだけ考えて無難な返事を悟へと打ち込む。
『"とろける系理解。私物のカラーバリエーションに迷ってただけ、選んでくれてありがと"』
メッセージを送り終え、私は選ばれた色の下着を持ってレジに進んだ。
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お腹も空いたし、大きなショッピングモール内のテナントの並ぶフードコートへと行く。
天丼だ、味噌汁と浅漬まで付いてる。ふにゃふにゃしてない天丼、さくさくであっまいタレのご飯をかっこむ天丼を期待している。トレイに載せてるんるんと空いた席に座った。
パキ、と割り箸を割りいざ!空腹の腹へショータイム!と構えた所で目の前の席にトレイを置かれる。
何事~?と相席になった人物を見ればこんな場所では予想外。狗巻だ。
「高菜」
『相席ですか?良いですよ』
「しゃけ」
何を言ってるのかははっきりとは分からない。この状況を見て返したのだけれど、狗巻は頷いているから相席良い?という意味を込めた高菜だったんだろう。