第8章 スキルアップ
車に一度買い終えた荷物(商品)を置き、また店舗へと入る。買い物の周回、食べ物を買う前に少し買いたいと思える何かを探していた。
ふらふらとテナントを見ていて足を止めるのは、良い体つきの女性型のマネキン達がパステルカラーの下着を見に付けた店舗……下着専門店。
『下着、ねぇ……?』
今まで実用性重視で見栄えなんて気にしてなかった。
そもそもいつも家族というセコムが発動されて恋人になりかけても終わるという恋、それが急に彼氏が出来るだなんて思っちゃいなかった訳で。
本日の私服、クリーム色のタートルネック沿いにぺた…と自身の胸元を触る。
……喜ぶものかな、ちょっと良いヤツとか買って着てたら。それはそれで嬉しいけれど、盛り上がって翌日に響くのは困る。
それからはっとした。昨日で最後の残り出しときますね、と生理の終了を知らせている体。すると今晩…もしくは明日に"そういう可能性"が出るというわけだ。
忘れもしない、生理初日の気合を入れていた悟。部屋の中だと言うのに抱く気満々で香水とか着けてたのに、出来ないと分かったら凄く残念がっていたな。
他の女性客がちら、と見てくるのでいつまでも自分の乳を触れてられないな、と胸元の手を降ろし下着専門店に吸い寄せられるように足を踏み入れた。
真っ赤のとかショッキングピンクは無理だ、"飢えてんの?"とか爆笑されそう。第一似合わない……と思うし。
色とりどりの商品の中で目を引くのは黒。黒…か、黒でちょっと凝ってるやつあるな、と自身のサイズがあるのを確認して黒の上下セットを手に取る。ブラジャー部分もそうだけれどヒモなどで編んでいる部分もあって結構おしゃれだ。パンツ部分の両サイドはヒモ。大丈夫か、切れたりしないかな…
他の商品に目を移せば次に目を引いたのは水色。へぇ、水色!リング等で装飾されてる。おっとパンツ大丈夫か、これ…透けてない?
手にとって見れば向こう側が見える。履く意味があるのか…これは……。不安な布の薄さだ。
ふと気になって手にとって左右の下着を見比べた。見栄えねぇ…?ああ、こっちの薄紫のもデザインが良いかも、しかしパンツがTバック!?とさらに候補が増えて悩む。