第8章 スキルアップ
ふぅ、とため息を吐いて鏡をしまった。
その動作を釘崎が見てたらしい。
「何人か正気に戻せばみたらいも捕獲作戦に参加して貰うわよ?」
『了解です、序盤はオナシャス!』
玉犬がずるずると一人引き摺って来てる。一名様のご案内だ。
他に居る、精神汚染された人間に虎杖と釘崎は仕掛けに行った。
虎杖は生身で引き摺りに。釘崎は呪術を使用して、弱らせて。
野戦病院かよ、とぼちぼち運ばれてくる人間。伊地知がはらはらとしてる中、玉犬が連れてきた男を伏黒は玉犬と共に地面に押さえつける。
ガンッ、といい音出してる。"ン゙ンァッ!?"って言ってるけど、言葉無くとも痛い!って言ってるんだろうな、とは理解出来ちゃうわ……、と私は頭を掴んで擦り傷と呪力の込められたであろう精神汚染から解き放っていく。普段の治療よりもチリッ、と燃える感覚がなんとも嫌だ。余計な体力が持っていかれる。
焦点が合わず虚ろな瞳だった男の目に光が戻ってきた。
「こ、ここ…はどこだ?はっ?え…あんた達…一体…っ」
押さえつけていた中腰の伏黒と、しゃがんでた私の視線が合う。
これは大騒ぎしそうな予感。私はその男の頭を両手で挟んで頭突きをした。ゴッ、と鈍い音と沈黙する男。
『……これで良いでしょ』
「ハルカさん時々そうおっかない事平気でやりますよね…」
『あっ、何かランクを上げたでしょ、伏黒。さん付けし始めたし』
うつ伏せの男、2体目を伏黒と私で持ち上げて並べ虎杖の連れてきた女性をうつ伏せにする。やはり刺激が強いのか…連れてきた被害者は若い人のようで。
"ンーーーー…エ゙ッ!アアッ!"
……まあ、精神汚染されてるからナイスバディーに興奮はしないとは思うけれどさ。
頭を抑えつけ、じゃんじゃん運ばれてくるアガリビト化した人間を治療していった。
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「みたらいまだー?」
『まだですよ、虎杖ちょっと痛めつけすぎですわ、余計な怪我あるとちょっと時間掛かる』
高専でバスを借りてきたのか、その中に詰め込まれていく被害者。気絶してる人もいれば始めから大人しく自らバスに乗り込む人までいる。
現在までに24名がバスに乗ってる。そして今治してる子供で25人目、虎杖があとふたりを拘束し、釘崎もふたり、玉犬2体がそれぞれひとりずつと伏黒はひとり。