第8章 スキルアップ
「なーなー、もののけ姫とか居そうじゃない?白い山犬とかさ。倒木とか苔むしてるし」
「伏黒の玉犬が居るでしょ、白い玉犬で我慢しなさい」
「俺を巻き込むな」
車内に響く細かな振動。ガタガタと道が悪くなってきた。
ボロボロではあったけれどまだ走りやすかったアスファルト舗装が途切れ、砕石の走行のしづらい悪い道。自然と会話の声のボリューも上がる。
「俺の玉犬を山犬にするとしてお前らはなんなんだよ」
「私はサンと言いたいの?それともエボシ?」
「釘崎はサンだろ。みたらいは式髪伸ばせっからミョーンミョーンってシーンのシシ神」
『吊るすぞ?』
走行中、くだらない雑談が盛り上がりつつある時点でピリ、とした空気の変わった感じ。
肘を掛けて後ろを見ていた私はそのまま前方や運転手側、私の助手席側の窓を見る。
釘崎が私の肘と伊地知のシートに手を掛けじっと前方や、左右の窓を確認してる。後部座席の真ん中に座る伏黒や虎杖もキョロキョロと見回している。皆が何かを感じ取っていた。
「既にどっかから見てるわね?」
『走行中に複数の気配って今までこんなにも多いの相手した事あるの?』
振り向きゃ釘崎とめちゃくちゃ顔が近かったので、ちょっとだけ離れて聞いた。
「ここまでは無いわね…気配的に数が多いっていうか」
「一体の呪霊が居たとして、分身や呪術で複数のこの気配の原因を作ってる可能性もあるだろ」
『…それが分身や術じゃなく全部本物とかだったり?』
沈黙。
それが本当だったら帰りが遅くなってしまいそうだ。4人でとか辛いでしょ、応援が欲しい。
「誰かアルテマとか全体魔法ならぬ全体呪術使えない?」
虎杖がやけくそ気味に一気に祓える方法をこのメンバーに聞くも、そんな技があれば聞かずとも済んだって事で。居ないからこそ皆呆れた雰囲気になっている。
「それこそ先生呼べって話だろ。皆各個撃破タイプかつみたらいは今回回復と呼び込み……あっ」
再びの沈黙。視線は私に集まっている。
『えっ?………あ!』
このずっと見られてる気配の原因。それは私の引き寄せる性質のせい。
頭の片隅で悟は警告してる。無理をするなと。でも考えてもこの任務では無理しか出来ない。