第7章 このリセットは強くある為に
57.
京都でのデートから数日が経過した。
また学校で連日テキストを睨みつけたり、パンダに投げられたり、治療に駆け出したりの日々が始まった。
私の呪術師としての寿命メーターをリセットしてから誰かしらの怪我を式髪へと移す機会を待っていたけれどそういう時に限って怪我人が少ない。それはそれで良い事ではあるのだけれど。
寮の自室。
今日の補習を受けた後に買い出しに行き、ふと今日買ってきた安物のダサい小皿。ガサガサと新聞紙に包まれた安物の小皿を私は手に取る。安物の更に安物だ、皆が手に取りにくいデザインが描かれている。さるかに合戦の猿が柿をカニに投げつけてるシーンだ。
…なんで皿にデザインしようと思ったんだ?
──正直言って、高専に入ってからは高校生の時よりも充実していた。
春日一族は十代後半からの力が本格的に目覚める…、学校という負の感情の矛先の中で私は良く保健室に通ったり、欠席したりしてた。
今思えば、そんな私から頻繁に母は私の白髪化した式髪を吸い取っていたんだと思う。見えず感じず、発散出来ず。そんな日々ならばわけも分からず死んでた可能性がある。
成人してからも体調不良の日々が度々あり、体調の良い時のお酒がとても美味しかった。だから今、見えて戦える私にとって毎日体調良好でお酒が美味しい日々は楽園だ。
体術や任務は辛くて厳しいけれども乗り越えることが出来るから…挫折をまだ味わっていないから楽しいと思える。
私が小皿を包んでいた新聞紙を丸めてゴミ箱に捨てる所までを目で追っている悟。
手に持っているその小皿を机に乗せた。ちなみに悟と共に食事を摂って食器も洗った後だ、別に今からお刺身を摘んで酒を楽しむとかそういうんじゃない。そもそもお刺身を買ってないし。
床に置いた小さめの座卓、悟と対面するように私も床に座る。
目の前の男は両手を机に乗せ、自室が隣にあるってのに私の部屋で大変おくつろぎになられているご様子。白いパーカーに色の濃いジーンズ、サングラスは掛けずに携帯片手に座卓に居る。ゲームでもしてるんでしょ。
「ハーヴィン来ないんだけれど?」
『んー?単発とか、乱数調整でもやってみたら?それか色々宗派あるしさ、試したら?宗派変えてさ…、』