第7章 このリセットは強くある為に
きょとんとした悟。じーっと見ると顔を逸らされてしまった。
『私はただ道を聞かれただけなんですけど?』
「えー…?ナンパとかじゃなく?なーんだつまんないのー」
イベントでも起きたかと思ったのか、この男は。口を尖らせている悟。
『それよりもほら、』
指差して数名既に外にまで並んでいる店舗を指した。私的にあの店舗にとりあえず行きたい。
それを見て悟ははいはい、と列に並ぶ。
「……ハルカはさ」
『ん?』
まだ少しばかり拗ねてる様子だ、と並んだままに悟を見る。
さっきの少年に構っていたからだろう、悟をもうちょっと構わないといけなさそうな予感がする。
「僕が他の女の子にちやほやさえてもヤキモチとか焼かないタイプ?」
『はい??』
聞き返した私に、悟は続けた。
「キミが合コンの時だってそうだし、さっきもそう。僕が他の子に取られちゃうって思わないの?」
『……それ、誘われたら悟からその誘いを断れば良くない?それとも悟が他の女の子が好きでそっちに行くって事?』
「あっ…(察し)」
意地悪しすぎてしまったかな、と口を押さえている悟から視線を反らす。
あまりこういう事を口にしたくは無いのだけれど。
『私は悟がそういう事しないと信じたいからさ。
本人の責任って言いたいけれど。他の子を誘惑してれば良い気分では無いよね……その、自分の好きな人がさ、ちょっかい出してればさ』
……本当は口には出さないけれど、他の子の元に行って私より優先して、私を切り離されたらかなりショックだけれどさ。
話している内に目の前の人達が動く。おお、行列が進んだと悟の袖を掴んで私は進んだ。結構ここのお菓子テレビでも紹介されてたから楽しみだったりする。
悟はワンテンポ遅れて進む、表情はなんとも言えない。
ご機嫌だったりスネたり、混乱してたりと表情がころころ変わるなあ、と覗き込むと片手で顔を隠してた。
「ン゙ッ……っぱ好きだわぁ、そういうキミも良いよねえ……ねえ、ハルカやっぱりさ、ホテル」
『行かないっ!まったく油断ならねぇなあ、この人は!』
……性格上ああやってすぐちょっかい出すんだろうけれど。他の子に気が向かないで欲しいって思ってるよ。そりゃあ好きだから嫉妬くらいはするよ…。
心に秘めて私の袖を引っ張ってゴネる悟と行列が詰められた所を数歩、一緒に進んだ。