第7章 このリセットは強くある為に
目をつぶるとか猫に回させるとか色々な方法があったハズ。なぜか左乳首でガチャをする宗派もあるらしい。
いや、目の前の男がそれやったら私はそっと目を反らすけれど。
お目当てのキャラが来ないという問いに真面目に答えていれば、そもそも真面目じゃない男はウインクをして舌を出す。
「全石をダイナミックしちゃった☆」
『どんまい、私にはどうすることも出来ないわ。また溜め直しなー』
真面目にやり取りした私が馬鹿でした、と。
カチャカチャと皿の他にペンケースからカッターを取り出す。カカカカ…、とカッターの刃を3メモリ分程出させた。
あんまり自傷とかしたくないんだけれどな、と思いながらも小皿の上でカッターの刃を指に当てた所で悟が机にダンッ!と大きな音を立て、膝立ちで前のめりになった。
驚いて座ったままの私は悟を見上げてしまったわ。
「えっそれリスカ!?ちょっとなにやってんのポイント高いよ!?」
『どこの実況4人組のツッコミだよ!……別に指先だしリストカットじゃないんだけれど』
手首でもないし。そもそも自殺願望があるわけでもないし。刃を指に当ててスッ…と引けば鋭い痛み。一文字の切り口からゆっくりと溢れ出し、たらりと流れる血液。それが一滴一滴小皿に垂れていき、赤い円がある程度大きくなった所で"髪夜の祟り"で指の傷を塞いだ。
『──なんていうかさ、"怒髪天"の硬さというか、私自身の防御が薄い気がするんだよね』
かちかちにならず、固くても靭やかになる。それじゃ自身も誰かも守れない。なんというか硬度が欲しかった。
その小皿に指先をかざし、するすると喚び出した式髪を垂らしていく。
何度か治療に家入の所に通ったし、外でもサポート枠として行ったから(式髪があまりにも少なく祓うに期待できない為)少しばかり式髪は白髪化してる。戦いに向かない量ではあるけれど怒髪天を少々使用しての実験で使う量としては丁度良かった。
そんなまるでサイコな玩具の釣りみたいな事をしている私をじっと悟は見ていた。
「……赤血操術って所?でもそれは呪術界御三家の加茂家のお家芸だからね~…どちらかっていうとキミは禪院家の血から派生してるからなあ…」