第7章 このリセットは強くある為に
普通すぎて驚いてしまった。いや、今はその普通が一番嬉しいのだけれど。
そんな私の驚いた反応を見て、瞬時に真顔になった悟。
「え、ハプニングをご希望?だったらスイーツ食べ歩きの軒数抑えてラブホ…いっちゃう?昨日の今日だからちょっとあっさりとさ、濃厚なのはちょっと僕の残量的にねー…?」
濃厚って何よ?下ネタ的なものなのは分かるけれどもラーメンかなんかのノリで言われるのは困る。というかまずえっちな事は遠慮したい。昨日、したし。
『スイーツ食べ歩きのみで良い、時折しょっぱいもの挟むとなお良し。ラブホはやだ。却下ね』
「えー?えっちしたかったなー、ハルカめっちゃえっちした時にさ、素直に僕へ好き好き言ってくれるからさぁ~……普段ちゃんと言ってくれないなら、えっちの機会を増やさないと駄目じゃん。聞きたいから行こう?僕にたくさん抱かれていっぱい好きって言って貰うんだー!」
随分と嬉しそうに言ってるけれどこの嬉しそうな悟を放っておくと本気でスイーツ巡りの後に食われる。その流れが出来始めている。
昨晩を思い出し、顔に火が着くほどに恥ずかしい。
好きすぎて気持ちよくて、満たされ過ぎておかしくなってしまいそうで…好きと何度も零した言葉。手で顔を覆い悟に背を向けた。
セックス中以外にも言えば良いんでしょ、今言えば。
『チッ……好き』
「え?なに?聞こえないけど」
『好き』
「声が小さいなぁ、無量空処帰りだからかな~耳遠くなっちゃったのかも?もうちょいボリューム上げて言ってくれる?」
『……好き!』
「僕も!」
絶対に聞こえてたでしょ、全部と思いながら背中から抱きしめる悟の腕に両手で触れる。
以前なら剥がしてたけれど…今は触れるのが嬉しいな。
「よし、荷物持ってスイーツツアーにレッツゴー!ハリアップ!ハリアップ!」
『あっ、引っ張らないの!今度は私の服が伸びるって!』
早々と門へと掛けていく悟に引っ張られながら私は門へと走った。
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人通りの多い歩道。片手に白いスマホを持ち、悟はさくさくと場所を調べてる。
近辺の無料スイーツマップを見付けた私はそのパンフレットを広げ、悟の隣を歩きながら見る。
甘いものは嫌いじゃない。むしろ好きな方。しかしこんなにも店舗があると胃袋はひとつしかないのでどれかに絞らないと行けない。