第7章 このリセットは強くある為に
腕を組んだまま悟は屋敷の方を見る。きっとその視線の先はあの庭の墓場。同じく私も、領域内で出会った現実世界で眠る場所の方向を見て悟を向いた。
『次に領域に行くまでに強くなって行かなきゃね』
「うんうん!僕も協力してくからね!」
互いににっ!と笑った。
「それからハルカ、領域展開をしたから式髪がリセットされたみたいだね。この状態のキミはもの凄く呪力が薄い……、相手に触れられた時のカウンターくらいしか呪力での戦闘は見込めないかなー…つまり、領域から帰りたての今は反転術式が全く使えない状態だね」
門から出てすぐの一本道のどのアスファルトのど真ん中。周りが静かすぎる中で悟は私の結った髪を指で梳いた。
「でも、これでキミはまた生き延びる術を得たね。式髪のリセットは新しいスタートライン!この調子でじゃんじゃん強くなってね!」
『……ん、そうだね、』
もちろん言われなくとも。私は頷く。
母さんの一族の迫害からの開放、そして纏まりもなく悟に攻撃してた人達を服従させてやる。
私が生きる為、大事なものを守るために。
精神世界の具現化。ならば控えるんじゃなくってもっと欲張って行こう。そして次までには術式を強くさせなきゃ。浮かんだアイディアをいつ練習するか、これは帰ってからになりそうだな…。
領域から帰って来てから問題が山積みだよ…。頭を掻きながら開いたままの門を見る。
「でもまあ領域展開はキミに関しては特定条件化のみ。頻繁に出せるものじゃないからね……僕も久しぶりに出して流石にちょっと疲れた。ので!」
『ので?』
悟を振り返った私の両肩にパン!と手を置く悟は、口でドラムロール(ダラララララ…)を言ってる。あんた巻き舌出来るんかい。
領域内の事(春日の一族を買うとか)もあるからきっとまーた突拍子もない事言うんだろうな。そう私は構えてた時期がありました。
"ジャン!"とドラムロールの終わりと共に今にも春日家側へと駆け出しそうな悟。荷物、置きっぱなしだしねぇ。
「スイーツ食べ歩きデートに行くよ!せっかく京都に居るんだしね、おすすめのコースを回ろ!和菓子中心、時々洋菓子ってね!」
『普通にデートだった…!とんでもない事言うのかと思ったわ!』