• テキストサイズ

【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第2章 視界から呪いへの鎹


「私の娘、リョウコのやった事です。あの子は春日の一族の血を、穏やかに滅ぼそうとこの家から離れた。
充てがった許婚を断り、家を飛び出し、馬の骨と一緒になり…自ら目を閉ざすように暗示を掛けた。一族の最低限のしきたりとして女子を産んでもその孫娘にも同じ様に目を閉ざさせ、孫もろとも戦わずに静かに死ぬ事を選んだのです」

目隠しをしたまま、見えてるか分からないのに的確に湯呑を持ってずずーっとお茶を飲む悟。ずっと思ってた事だけれどその目隠しの構造どうなってるんだ?
私は隣のアイマスクの疑問から祖母に視線を移して口を開いた。

『じゃあ、母さんは…、髪を真っ白にしても凄く元気そうにしてたのは自分で死ぬ事を選んだからって事?』

いつも元気でどうして退院しないのか疑問なくらいだったのも。
それは母が自ら希望して選んだ、自分の終わりだという事。

「そういう事だ。自ら死に向かうのに、せっかくのお前を巻き込むのに死への恐怖を感じない己に幸せだったのだろう……呪いが見えないからな」

見えないほうが幸せな呪い。その形状は誰も教えてくれていない。
教えてくれそうな隣の悟に聞いてみる。
ちなみにその呪いの私のイメージは黒とか紫とかのガス状のものだ。

『呪いが見えないから……死への恐怖って…、呪いってどういう見た目なの?』

隣の悟に問いかけると悟はうーん、と唸った。

「バイオのリッカーみたいなモンかな?」
『……げえっ!え、まって私無意識にリッカーにボコられてたの!?』

「うん。わりとクトゥルフとかクリーチャー寄りが多いんだよね、呪いとか呪霊っていうのは。負の感情に可愛い見た目になるわけじゃないからねえ。
そういうのにキミは無差別に襲われてるんだよ。怖い?」

『……』

そう考えると見えなくても良い気もしてきた。
歩いていて、リッカーに追われて襲われてたなんて見えてたらチビる。母の気持ちがちょっとだけ分かる。知らなくても良い事があるって事だ。
……でも、その知らないせいで早く死ぬのはもっと嫌だ。まだ私は生きて人生を送っていきたい。だからこれ以上の髪の消費は御免だ。

『怖いけれど…無防備に襲われるのはもっと怖いかな……』

考えて出した言葉に、悟一度頷いて口元は優しく弧を描いた。
/ 2273ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp