第7章 このリセットは強くある為に
「生き残りはたったのふたり。婆さんには子供なんて出来ないでしょ?…で、ハルカは僕と恋人。恋人といっても結婚前提……、彼女は将来的に春日の名でもみたらいでもない、五条になるよ?」
ぴた、と静まる中で式髪に縛り付けられた繭状の人が揺れている。ミイラとまではいかないけれど一族の面影は分かる。口まで塞がれてるのか、言葉は聞こえなかった。うめき声だけが私の耳に届いてる。
何となく察しがついている。ひとり迫害されているその人物は……。
『そこの…人は母さんなの?』
ポカンとした赤装束。
私と、ただ一人ぐるぐる巻きの人物を見て、白い布の奥…鼻で笑われた。
"リョウコだ。お前を産んだ母だ。一族を終わらせようとした罪でああしている。死の間際まで呪術を使ったばかりに我らの仲間入りをしたからな、一族間は殺すことが出来ない、故に殺すに殺せない。これが適切な対応だ。
……こうするまでに苦労はしたがなぁ"
あまりにも酷い仕打ち。
引き寄せられた悟の服をぎゅっと握った。
そんな私を肩に置いた手が一度離れて頭上へ、そのまま優しく撫でる。
「今はこんなでもきっと開放出来るさ。キミはまだまだ強くなれるだろ?だって呪術師として歩みだしたばかりじゃん!
僕はハルカがまだ本気を出してないの分かるからさ、焦らず少しずつ強くなってこうぜ?」
『…うん』
私の返事を聞いた悟はよし、と言って頷いた。
「……で、五条になったら…いや、近々だけれど春日は五条派になるんで。その辺お知らせしときますわ。あの婆さんの弱点からしてこれ(お金)で買収出来ると思うんだよねー…春日の一族!」
『え、ええーっ!?そんなのってアリぃ?』
悟はもうにっこにこで手で"マネー!"とジェスチャーしている。
悟は説明をしだす、私含んだここのかつては生きていた者達、春日の一族に。
春日家の生き残りがたったのふたりならば五条で買い取る。そうすれば春日を狙う(主に私をなんだけれど)奴から守れる。墓だって守れる。そして五条家等仲間内で避難する際にも利用が出来る。
互いに持ちつ持たれつの関係であれる、という事。