第7章 このリセットは強くある為に
赤装束の者の髪が伸び、座り込んだ呪いを突き刺す。この赤黒い空にマッチした、オレンジ色の炎に包まれて炭となり散った。
もう邪魔者は居ないって事。呼び出した理由も消え、あとは呼び出した私と悟、この空間のみ。
"小娘の分際で生意気だ、リョウコが匿っただけはある。一族でありながら一族の敵になりえる存在…、お前も血を途絶えさせようとする愚かな末裔だな?"
とんとん、と肩を叩かれて悟を見た。
結構危機的状況になってきたんですけれど、と警戒は怠らずに余裕そうな悟に耳を傾ける。
「キミ、ご先祖達に随分と嫌われてるねー」
『うっわ!大丈夫だとかそういう事言ってくれるのかと思ったらその言葉ないわー、ってか悟ほど嫌われてないと思うけれど?』
"……は?"
きょとんとするご先祖様。
悟はへらへらとしながらこの地獄みたな墓地の領域でいつもの調子を続ける。
「えー?そう?僕そんなに嫌われてたかなぁ、最強で天才でナイスガイかつグレートティーチャー五条だからそんなに嫌われてないと思うよ?」
『楽厳寺学長とか嫌いすぎて噛み付く猟犬状態だったじゃない』
「野郎に好かれてもなんも嬉しくないし?女の子にモテた方が…ってウソウソ、そんな目しないでよ、ハルカ。僕はキミが一番大切で好きだよー?ホント!」
『嘘くせぇ…』
顔を覗き込もうとするので腕を組んでふん、と別方向に顔を向ける。
悟はそれでも覗き込んでくるので2、3度繰り返した後に覗き込んだ悟の、サングラスの奥の目を見た。
「……本当だよ?」
『はぁー…うん、そんなの知ってるし』
ふふ、と互いに笑った所だった。
あちこちでぼそぼそ話し声が聞こえる中、この様子を見ていた先祖の一人がツッコんでくる。
"何をやってる…?末代の娘…、まさか、その五条の者は…"
ヒソヒソ声の中で悟はわざとらしく咳払いをした。
私の肩を片手で掴み、悟の体に寄せられて。
『はい?』
「はい、ちゅーもく!」
何を始めるんだと見守る中で悟はフリーダムにも私の先祖に話しかける。