第7章 このリセットは強くある為に
悟は口元は笑ったままに瞬いて後頭部をぼりぼりと掻いてる。
きっと悟にも分からない分野だったんだろう。
「そこは流石にわかんないや!でもキミの精神が強ければ恨みも祟りも呪いすらにも勝てるよ。そしてキミは完全に末裔……即ち。現春日家最強の女だと言える。領域内の始まりの鎹も打ち負かすくらいに強くなってよ、ハルカ」
まだアイディアの域を出ない方法。きっとまだまだ強くなれるのだと自信をつけたい所だけれど。
末代まで呪う、の末代。祖母すらも使ったことのない領域展開。まずはこちらが優先。
悟は親指で門の方を指差した。
「どう?その辺のうろついてる呪いにでも相手してやってみる?過去の一族を支配できないなら僕が代わりに領域を重ねてあげられるよ?」
『うん…そうだね。やってみる』
印の組み方は学習している。
春日の一族は両手の全ての指を組む……祈るような組み方だった。
私の返事を聞いた悟は立ち上がって私の背を片手で押し、一緒に進む。進行方向は門の方。足元の玉砂利がガチャガチャと急にうるさく鳴るからか、近くの松の木のスズメが驚いてチチチッ!と飛び立った。
「まずは結界の外に行こう!そして森にうろついてる呪いを呼び寄せる!そこでハルカが領域展開をしちゃう!使役して呪いを倒す!もし言うこと利いてくれないなら僕が助ける!
以上!天才かつ最強な特級呪術師、キミの恋人五条悟の計画でした、と。ご理解出来た?」
『ご理解出来ました。精神世界…一族の犠牲者達を現実に呼び戻す為に印を組んでのリンチ会場の設置ね!』
「そう、そこがあの女のハウスよ!」
『……ハウスかぁ?』
朝から元気な悟は駆け出す。私はその彼の背を追った。
屋敷の門から出て、見えるは真っ直ぐな一本道。左右は森に囲まれている。午前中の森は静かで小鳥の声が聞こえてくる。風は微風だ。
道の真ん中で、悟はじっと右の森を見ている。呪力を見てるんだろう、と私もじっと見ているとかすかにじわじわと近付く呪いを感じる。森は不気味だとか、そういう感情が残されているんだろう。
始めてきた時のめっちゃ居たのはしばらく祓われてなかったんじゃないのかな……。