第7章 このリセットは強くある為に
「不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまって……。
キミ尾崎とか良く聞いてたよね、ハルカ……飴ちゃん供えとこ」
『死んでねーわっ!そこに私は居ないし眠ってなんか居ないわ…って何私を千の風にさせないでよ!不謹慎だなー』
後頭部をスパンッ!と叩くと悟はにやにや笑っている。式髪次第ではガチで死ねる一族に対してのその不謹慎なギャグはやめろ、と言いたい。
しゃがんだままに、悟は私の墓を見て続けてる。ちょっと笑い声を入れて。
「まあ、無駄に名前掘っちゃってるよねー、キミここに入らないもん」
『まあね。すぐには死なない予定だし』
天命のままにせめて生きてからだろうから、墓を作るのも名前を掘るのも早すぎるんだよな、と自身の予約席を悟の隣に立って見る。
「ん?キミがもしも死んだとしたら入る墓はこの春日の墓でもみたらい家でも無く五条家の墓じゃない?」
『…ん?』
「ん?僕なんか変な事言った?」
……昨日といい今日といい、やけに悟の押しが強い。
急に結婚を意識されたというか。もちろん嫌じゃないけれどここまで攻められた事がなく困惑してしまう。
そんな私を見て悟ははははっ!と笑った。
「まあ、後ほどちゃんとした状況でまたキミに攻め込むとして。
……春日に用意されてる術。その生得領域を呪力によって領域展開へと昇華する……。キミや一族に受け継がれてる精神世界をね、現実に持ってくるんだ。」
『……ウン?』
私の返事が悪かったのか、振り向いて疑うようにじとーっと見られ、私はもう一度頷いた。多分4割は理解出来てるとは思う。
……呪術って、難しいなぁ。悟は墓じゃなくて私をじっと見たままに更に続けていく。
「精神世界を……だから基本はハルカがルールなの。一族の人がとやかくいってもね、術者はキミ。キミが一族を使役するんだよね。だから本当にもしものもしもだけれど、真希とか恵が最悪キミが巻き込んでも、絶対に傷つけないようにハルカが支配しなきゃ駄目」
『それって…他の先代は大丈夫だとして、春日の始まりの鎹も大丈夫?だって一族の始まりレベルに恨んで祟って呪ってた人でしょ?禪院の人が相手だったら私の意志で駄目って言ってもさ…、』