第7章 このリセットは強くある為に
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「そもそも、呪術界の御三家、禪院家から派生した春日家……。呪力でのカウンターや式神が異質化したものが春日の一族の特性、式髪。他から呪力をかき集め、攻撃手段はハルカが使えるのは現在反転術式と体術のみ。
死から遠ざかる為に一気に吐き出せる領域展開…。この対処法を知っていて領域展開出来なかったら損だよ?」
悟は壁に肩を寄り掛かけて読み漁ってる私を見てる。
悟から書物に視線を落とし、東京に持っていけなかった書物を何冊か手にとってぱらぱらと見てるけれど。
持ち帰ってない本でも、後の世代の手記は割と読みやすく少し役に立ちそうな情報がいくつか分かってきた。
領域内は生者(子孫)が全てであり、死者は生者に従うべきもの。
ただし、威厳がなくてはいけない。つまり舐められてたら死者を使役する事は出来ないみたいだ。
それから死者は術を使った者。能力を持っているものが集まっているという。従って女系である春日の一族はきっとギスギスした女社会が広がっていそうだ。
……死者っていうけれど、領域内ではその死者達ってどういう状態なんだろう?
ぺら、と一枚ページを送りながら悟を見上げるとにこにこしてこちらを見ている。私の血族に関してを聞いてもこれは分から無さそうだなぁ。
次のページはこの手記を書いた先祖のどういった技を使用していたとかが書かれていた。この人は"怒髪天"をギチギチに編み込み鞭のようにして扱っていたみたいだ……自在に動くしそういうのもあるんだな、と先祖の戦い方を学習して手記を閉じる。
悟が言ってた、サンドボックスみたいなもの、か。
そして毛髪と血液は代々受け継がれるもの、ね。世代が後になるほど有利……。
春日家とは関係のない本をふと手に取って、数ページ捲りはっとした。これは試す価値があるかもしれない。領域展開に関係ない事であるけれど強さに貪欲になっていくのならばいくつか試してみないと。
『……悟、昨日の私が言った、強くなる方法……なんかヒントを掴めた、かも…』
少し瞼を上げて驚いた悟はにやりと笑って目を細めてる。
「……へえ、そりゃあここに来た甲斐があったねえ!」
『あと、領域内についてもちょっとだけ。多分口汚く罵られても私自身を殺すことはなさそうだよ』