第7章 このリセットは強くある為に
なんだかんだでニヤニヤしている祖母に腹が立つも追求はしない。私としてはこれで本当に終わりだろう、この家に帰ってくるのは。
そう思いながら朝食のアジを解している時だった。
悟が私の肩をとんとん、と叩いた。それに思わず振り返る。
頬にむにっと刺さる指。硬直する私とフボッと龍太郎の吹き出す音、咳払いする祖母。
……こンの男は…!
「ふふっ…ごめーーん!つい!」
『それが許されるのは成人までくらいじゃあ無いでしょうかね?五条悟君?』
んっふ、と笑い声をこらえる悟を見るとあっという間に切り替えている。
「式髪も半分くらい白髪化してるし、どうせならゆかりのあるここ、京都で領域展開してみたら?分からないことはここですぐに調べられるしさ!東京でやるよりは資料は豊富だろ?」
突然の事にぶっ、と咽る祖母。数回咳き込んでいて、龍太郎が水を持ってきて急いで飲んでいる。
「ごほっ…そう軽々とするものではありませんよ、五条様。書物などで伝承は残っていても私でも呼び出した事がありません」
「それはお婆ちゃん、守備面に力を割いてるからでしょ?ハルカは結構攻撃的だもん、攻めるのが好きな彼女なら呼び出せるんじゃないの?」
ご飯茶碗と箸を持った状態でえっ?えっ?と私はうろたえる。
いつかそのうち、機会がある時に……って思っていたけれど、祖母も呼び出した事のない領域展開をそうも気軽にやれ、というのは。
『そんなコンビニ行くくらいの気軽さでやっちゃうもん??私、そのうち強い呪霊とかに会ったら…くらいで構えてたんだけれど?』