第7章 このリセットは強くある為に
「ふふ…これでやっとハルカを僕のものに出来た」
『そうだね…私は、悟に初めてをあげちゃったもんね』
これが昔ちょっとだけ付き合ってた人や、この前の龍太郎に初めてを取られていたらきっと今のような感情にはならないと思う。
学生時代の淡い恋心で若さ故の欲だとか一族の繁栄の為の命令だとかよりも断然、少しずつ互いを知ってゆっくりと交わった悟とのセックスが私にはあまりにも幸福すぎてしまった。
……毎日は恥ずかしいし、体力的には無理だとしても何日かに一回はしたい、かもしれない。
なんて本人を目の前にして言えないんだけれど。
「僕で良かった?」
『ん、もちろん。初めては好きな人とが良かったから…』
「おいおい、そこは愛する悟クンだからとか言えないのー?」
『ふふ、…愛する悟とだから良かった、これで良いかな?』
"上出来"…そう言った悟と軽く口付ける。
唇が離れた後、私は服を手繰り寄せて自分の側に置いた。
その手繰り寄せる私の手を悟は掴む。掴まれた自分の手に向けた視線を悟へと上げる。
さっきまでふざけてたのに薄っすらと笑みを浮かべちゃいるけれど真剣だ。目が離せない、いや離したくない。そのまま吸い込まれそうな程に私の目を見ている。
「例えお腹に出来ようが出来まいが僕は本気でハルカをお嫁に貰うつもりだよ」
『付き合ってからそこに至るまで早すぎない?』
私としては好きな相手と恋愛してそのまま一緒に居たいと思えたら一緒になるって展開であるから万々歳であるけれど。
それにしても表面だけの恋人期間を含めたって早い。その期間で知れた事は多いけれど、まだまだこの彼について知らない事がたくさんある。
悟は眉間にちょっとシワを寄せて口を尖らせた。
「えー?ハルカって僕とは遊びのつもりで恋人になったとかじゃないでしょ?結婚は嫌だった?」
『そりゃ嬉しいよ?悟の事好きだもん、人に決められた相手じゃなくて好きになった相手なら……って』
話してる途中からちょっと頬を染め、片手で口元を隠す悟。
調子、狂うなぁ。そういう顔されたら伝染しちゃう。私も思わず手で顔を隠した。
『その…っ、あまりにも早すぎて、夢みたいだし……まあ、すぐには無理だけれどね?すぐじゃなくともいつかはね…?』
隠した口元を晒し、緩く弧を描く悟の唇。