第7章 このリセットは強くある為に
53.
チュン、チュンチュン…チチチチッ…チュンッ。
庭に小鳥…というかチュンチュン言うならスズメかぁ…。スズメが餌でも取り合ってるのか騒いでる。
寝ぼけた頭が徐々に覚めていく、そして布団の中でありながら素肌であり、隣の体温で状況を理解してく。
抱き枕の様にがっちりとしがみ掴まれて完全拘束された裸体。素肌同士が触れ合っていてなんだか安心する悟の体温。昨晩は散々に抱かれてしまった。
この……なんて言ってたっけ、先にイカせたい、レディーファーストが出来るグッドルッキングガイ(笑)は避妊もせずに何度も私の中に射精を繰り返していた。もしもの話、それでデキてしまったとしても責任を取るとか言ってた。女の子出来たらどうしよう、ブリーダーババアが喜んでしまう…ってうさぎとか猫みたいに一発で確実にデキるとは限らないんだからそういう思考に至るのはよそう。
互いの顔が5センチ以内。すやすやと眠る悟の抱きしめる力が強くて布団から絶対に出られない。
体の奥深くで悟を知ってしまって、私はこの初めてを捧げ終えた障子から差し込む眩しい朝に幸せを感じていた。
『ん?』
スズメがチチチッとどこかに飛び去り、静かになった部屋に聞こえてくるのは人の生活音。トストストス、と足音が近付いてくる、あ…これはデジャヴですねぇ。私は前回の件を察し、そして身動きの出来ない状況に諦めた。
スァー…と静かに襖が開けられ、祖母と目が合ってしまった。その視線で全てを察したと理解する。私と、はみ出る悟の頭部、部屋にほいほい投げられた衣服。掛け布団からはみ出た胸より上。男女が完全に裸体だから演技なんかに見えないし、この部屋の惨状は何があったのかを物語っている。
そう、完全に"昨晩はお楽しみでしたね"状態といえば良いか。
祖母は目をかっ開いた。
クワッ!という効果音ってこういう時に使われるんだなと実感するわ。そんなに目が飛び出そうなくらいに開くなと言いたい。
……トータルリコールのラスト付近のシーンか!
「落ち着いたら好きな時に朝食を取ると良い、精の付くものを用意してある………ケケッ」
スゥ、ぱたむ。トストストット…と離れていく足音。こっわ、ケケッて笑っていやがった。朝からとんでもない祖母を見てぞっとしながら私は悟を揺らす。