第6章 "愛"も止まらない!
恐る恐る、悟の背に手を回す。指先がちょっと背に着くくらいだけれど。いつも抱きしめるその背が、今は不安を和らげる頼れる背中に感じる。
目の前の悟は背に腕を回した私に優しく笑った。
「気持ち良いなら声は我慢しないで。そういうハルカの声もひっくるめて全部……僕は知りたいんだ。
だから聞かせてよ、ハルカのイイ声」
胸に触れる手。
乱暴じゃなくてほぐすようにやわやわとしてる。痴漢とかの一方的な揉み方じゃなくて、マッサージでもしてるみたいな…。
触れる手が滑っていき、先端部分を執拗に攻め始める。
私は片手で口元を隠した。こないだみたいな声が出てしまうかもしれないし。
でもそれを悟は手首を掴んで私に向かって首を振る。まるで悪いことを叱るように。
「ほらー、そうやって声を我慢しようとしたでしょ。駄目だからね?ハルカのえっちな声が聞きたいの、僕は!」
『だっ…だって、…ぁ…っ!』
くにくにと指先が私の扱い方を知ってたみたいに感じさせている。そんな私を見て、ククッ、と笑った悟はもう一方の胸にしゃぶりついた。
『あっ……やだ、!』
「んっ…、そうそう良い声で鳴けて偉いよー、ハルカ…っ」
ちゅうっ、と音を立てたり、指よりも繊細な動きをする舌先が遠慮なしに私をぞくぞくとさせる。それだけじゃない、お風呂とは違って濡れていない互いの暖かい素肌が触れるだけでもぞわぞわする。
体の神経の全てが胸のその二箇所に集中しているみたい。悟の背に回した手は汗ばんできた、私の手汗だ。
『さ、悟…まって、一時休止しよ?このまま続けちゃ──、』
ちゅ、と唇から乳首が外れたリップ音。さらさらの髪からこちらを覗く青い瞳と目が合った。
「今更何いってんのかな?僕は十分待ったんだ。もうね、凶暴な狼の口輪を一度外したらどうなるか。分かるだろ?あとは暴走するだけなんだよねー…
だから、もう待ってあげない」
何も言えない、頷く事も出来ぬままに吸い付いていた胸に添えられるだけだった片手が肌を滑り、腹、鼠径部、そして誰も受け入れたことの無い場所に触れる。
『……ぁっ、んっ』
その片手はなぞるように前後して、胸に吸い付かずにじっと私の顔を見る悟は、器用にもう片手で胸を攻め続けていた。
その青がふと下半身の方に向いてから私の目を捕らえる。獣のように飢えた表情だった。