第6章 "愛"も止まらない!
おっかなびっくり、そろそろとゆっくりとした動作でその敷布団に近付く。近付いていく程に心臓がこの静寂の部屋でバクバクと主張している。聞こえてたら笑われてしまうくらいに私は緊張してる。
ゆっくりと横になってる悟の側に正座した。布の擦れる音、悟は体を起こし、膝立ちになって私の顔を覗き込む。その目はいつ見ても綺麗だけれど、この時ばかりは獲物を前にした獣のようにギラついていて、視線を反らしたいのに引き込まれて離せない。
私の表情は硬いのか、怯えてたのか。悟はへらっ、といつもの様に笑って和ませてくれた。
「そんなに怯えないでよ~、といっても取って食うんだけれど!僕が狼ならキミは子羊、いやうさぎちゃんかな?
食べられるの前提だけれどさ」
『……っ』
太ももに片手を置かれ、びくっ、と体が強張った。その緊張する私を悟の手が撫でる。太ももをさわさわと暖かい体温が滑っていくまるで慣らしていくように何度も。
「力抜いて。怖いなら全部僕に任せてよ?」
『うん…、ご、ごめん。流石に明日帰ってくるだろうからって今日とは思ってなくて…っ、覚悟が…っああもうっ!』
服を片手で持ち上げた所で、ええいっ、と私は上着を脱ぐ。きっと前方にファスナーが着いたパーカーなら手間取らなかったろうに。
目が良いのが本当であれば、お酒で酔いつぶれた如く真っ赤になってるのが分かると思う。ゆっくり緊張が続くのならさっさと終わらせちゃえ!と少しやけになってた。
上着を脱いだ後にインナーをサッサと脱ぎ、やけくそにブラジャーのホックに手を掛ける所で悟に慌てて止められてしまった。
「オイ、オイオイオイ、その最後の砦は僕が外すの!好きな女の子の胸が下着からボロンッてまろび出るのを拝むのが男のロマンなのっ!」
『知らないもんっ、男じゃないからそんなロマン…』
それにお風呂でつい隠しちゃうけれど、見られてるし吸われたし!
膝立ちの悟は上半身の衣類をさっさと脱ぎ、服を放り出して私の両脇から背に手を回す。
胸の前に顔があって距離が近い。そして今ホックが外されて下着は離れた場所に放り投げられてしまった。
悟は布団をまた、とんとんと叩く。
「寝て。下も脱がすから」
もう最後の砦。全身に熱を感じながら空気混じりの唾液を飲み込む。