第6章 "愛"も止まらない!
「キミらの呪力は、常時呪いを呼び寄せ呪力で焼き祓っている。鎹からハルカまでずっと遺伝し引き継がれる血や頭髪は呪いそのもの…、」
『うん…、』
「呪術は遺伝するものが全てじゃないんだよ」
んん?とやや首を傾げた。難しい事を言っている。
遺伝するものが全てじゃないというなら、本に載ってないものもあるって事だろうか?
温かくて気持ち良いのか、眠いのか細められた悟の眼。
「術師の一族だってね、向き不向きとかさ。得意分野あるんだよね!ハルカのお母さんについては想像上での話になるけれど、キミを守りたいから記憶や目を呪術から掛け離してた。だからそれにきっと特化していった。
キミが呪いを見ることが出来ない状態で普通に生きていられたのはお母さんがハルカの式髪に溜まった分を吸い取っていたか、ハルカに寄り付かなくする呪術を掛けていたんじゃないのかな。だから死後、守る人が居なくなったからハルカは急に体調不良だとか白髪化するようになった、と」
フッ、と笑う悟。
そう、だよね。一族を緩く滅びさせる為にと私を呪術師から遠ざけてた。だからその方向に特化してしまった、と。
『それは……なんとなく分かるかも』
偏っていたけれどそれは確かな母からの愛情だった。
それを無駄にしないように私は生きなきゃならない。伏せた状態、水面に映る自分が見つめ返してる。
「まっ!結果的にキミに負担掛かって、夏休み最後の溜まった宿題みたいになってるけどねっ!」
『悟、デリカシーって言葉知ってる?』
入院しがちな母に会いに行けば安心出来た。呪術を使ってたのかは分からない。けれど早いスピードで白髪化していった。それを考えると消去法で私の分を吸い取っていたという仮説は正しそうだ。今じゃ正解は分からないけれど。
うん、と私は悟の母の持っていたであろう呪術の仮説についての話に相槌を打った。
頭の隅に沸いた話題だったけれど、良い勉強になる。