第6章 "愛"も止まらない!
「要するにー…婆さんは一族の跡継ぎがーって言いたい、と。
ならさ!僕がハルカと跡継ぎ作れば良いんじゃないの?龍太郎君には悪いけれど僕達結構仲良しだよ~?」
流れる沈黙。
隅っこの龍太郎もそういえば居たな、と視線移しても我関さず、と空気と一体化してるというか、畳と一体化してるというべきか。
許婚というポジション取られたら龍太郎どうなんの?とは思うけど意見を彼は言わなかった。
というか。一族の跡継ぎうんぬんの前にあるだろ。私は悟の肩を揺すった。
『悟?いやまず私、今学生だからね?「であれば今すぐ作れ!女を産め、5人は最低でも」ええい!ババアは黙ってろ!
そもそも悟、私達…』
「……ん?何?」
瞬時に真顔に戻る私。こんな所で下の事情なんて言ってられない。そういう事はまだしてないって事とか。この場で言うもんじゃないでしょ、私…冷静になろう。
そっと浅漬けを箸で摘んだ。
『ううん……なんでもない』
スパゲッティのようにこんがらがった思考を一時的に鎮める。
耳にした発言を思い返せばさり気なく悟からとんでもない事言われた気がしたので、今は白熱して熱っぽい思考を冷まして、後でもっと冷静になった時に考えよう、と考えた。
…そうしよう。だって…跡継ぎってそういう事じゃん…。
騒がしかった食卓は一気に静まり返ってしまった。