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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第6章 "愛"も止まらない!


「お前が直接来るまでこっちの学校にと考えていた……が実際会って確信した。学校を辞めろ」

今まで血筋だけで関係の無かったのに、急に私の人生を路線変更しようとしてる。
何様だよ…、と呆れながらよく考えてしまえば激昂しかねない祖母の言葉をそこそこに受け止めて噛み付いた。

『どうして?学校は私の意思で行ってる。学費も免除だし他に掛かる費用もお給料から引かれてくから関係無くない?私、何か婆ちゃんに迷惑掛けてる?』
「迷惑…?」

ニィ…と気味悪く笑って祖母は声のトーンを変えずに話した。

「そうだ、我儘な孫娘で多くの迷惑を先祖達に掛けている。お前には呪術に関して期待はしていない、ただ黙って私の言うとおりに一族を黙々と増やしていけ。
残り少ない式髪、お前は呪術よりも一族の繁栄を優先すべきだ」

そっか。やっぱり期待はしていなかったか。
今日何度か向けられた憐れむ視線を、今度は私が祖母に向ける。この人は私の事を家族などという括りではなく一族の歯車として考えてる。

『……ブリーダーじゃん、そんなの。何?私の事犬とか猫のつもりで見てんの?』

龍太郎がトレイに載せた食事を運ぶ。悟、私、祖母の順に。
そっか、そんな時間か。外も随分暗くなって来てるから…。
室内から見える庭。ソーラーパネルでうっすらと庭を照らす小さな明かりがぼんやりと先祖の墓を照らす。
夜の墓場は恐ろしいと言うし、私は進んで肝試しみたいなイベントには行かないタイプだったけれど、目の前の墓場からは恐れよりも長く生きられなかった先祖達の沈黙しか感じられない。
……呪いが見える立場になった今じゃ、恐怖はない。物言わない死者達の集合場所。
私の人生をここで過ごさせて、目の前のその死者達の集合場所に移させるつもりだ、この頑固婆婆は。
怒りが出てきそうな所を押さえながら私は返す。私の握りこぶし…関節がぱき、と鳴った。

『本人の…、私の意思を尊重するって気は無いわけ?』

「最近の若いのは子すら作らず、いつまでも家庭をもたないものばかりだ。リョウコもたったふたりしか産めていない、しかも春日の血を継承出来る女はお前だけ!」
『母さんは私の後の兄弟が産めずに子宮を摘出したの!悪かないでしょ!自分の娘の命より子孫ばっか気にして根っからの"春日"ブリーダーだな、あんたは!』
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