第6章 "愛"も止まらない!
私の抱える書類のどこかにあった、家系図の名前と享年。年老いて死ぬ人はほとんど居なくて、多分祖母は初代以外だと最長なんじゃないのかな。60~70歳くらいだと思うけれど。
私の母は病院で、多分呪霊とかにやられて…の結果だけれど、41歳という若さで散ってしまった。
私は京都の呪術高専の学長、楽厳寺をじっと見た。
来る前からも、ここに来てからも答えは変わらないままだし。
『お誘いはありがたいですが、私は今のままで十分です』
例えこっち(京都)に魅力があっても、変に縛りとか結ばれそうだな…と勘ぐってしまう。その点、東京は悟も居るおかげか信用が出来る。
楽厳寺はふう、とため息を吐いて、"ゆっくり考えてくれ"と言った。
姉妹校のお誘いを直接的に断り終え、悟と共に京都呪術高専から移動を開始した。
東京に居た時点で昼過ぎ(LINEで虎杖達3人に京都に急に行くことになったと説明は送っている)、京都に来るのに3時間以上掛かっている。時間はもう5時。
タクシーに乗って例の場所へと進んでいた。
祖母の家、春日の本家。そこに向かうのに浮かれた気分で居られるかってんだ。門前払いして欲しいと願いながらタクシーの後部座席の窓から外を眺めてた。
「ハルカめっちゃ不機嫌じゃない?カルシウム不足なんじゃない?」
同じくタクシーの後部座席、私の隣に座る悟は私の顔を覗き込んでくる。
タクシーはひたすら目的地に向けて走行中であって、私はこれから起こる頭痛の種共に機嫌なんて良くなりゃしない。
『散歩に行きたくない柴犬の映像思い浮かべてみ?思い浮かべた?それ、今の私の心情だから』
「わー!随分とわくわくしちゃって!」
『ど・こ・が!』
愉快そうな悟はごそごそと自身のポケットを漁っている。ビニールのガサガサ音が激しく聞こえる。
「おやつ持ってきたよ!食べる?バナナはないけどっ!」
『完全にレジャー気分では?300円未満を守ってるところがさ~…あとバナナも含まないとかさ…』
両手の平に、棒付きキャンディや個装キャンディ、焼き菓子のマアム…ってポケットに何を詰め込んでいるんだ28歳児と呆れながら、棒付きキャンディを取ろうと棒部分に手を触れる。
『前私食べてたやつだ。気に入ったの?』
「うん、まあね!甘いもの僕好きだし」