第6章 "愛"も止まらない!
私が東京と京都を天秤にすら掛けていないのを察し、真衣が何かを東堂に合図すると、東堂は行動を起こした。
ガシィ!
東堂は少し屈むと私の腰を両手で掴む。やるしかって……。
『え』
そのまま体が浮き、肩に担がれる。
これって…まさか…。人攫いではないか??これを計画してたっていうのか?
肩に担がれ、あまりにも突然の拉致に困惑する。
「おまけの任務も済んで良かったわ」
いや、これも任務だったんかい。
担がれながら冷静に私は携帯を取り出す。かきくけ…こ、五条悟。
通話を開始し、東堂の肩の上で携帯を耳に当てた。
2コールの後に出るのはもちろん悟。
"ん?どうしたハルカ?寂しかったの?恋人の声聞きたくてたまらなかった?というかキミ~…今って授業じゃないの?数学嫌いだからって真面目に受けなさい!"
『あーもしもし、私、只今拉致されてる最中なんですけど…』
「あっ!東堂先輩!連絡入れてますよ!」
「あ?連絡?」
流石に私が話せばバレるというもので。
悟に連絡をきっちり入れながら反転術式で身を…というか携帯を守りながら通話を続行する。もちろん、東堂の肩に担がれたままだけれど。
"……ねえ、今どこにいるの?"
『学校内、だけれど姉妹校の3年と2年の方々、名前は東堂葵、禪院真衣!人攫いの如く担がれ……ってる!』
通話を切らぬままに私は術式で抵抗し続けた。
とりあえずはふたりを妨害出来てるみたいだ。きっとふたりが話してる言葉は携帯を通して悟にまで伝わっていると思うけれど…。
「ちょっとバラされてるじゃないですか!」
「流石に京都につれてくのに殴れねーだろ」
「でも治療に長けてるハズですよね!?気絶くらいは…」
立ち止まる東堂はしゃがみ、真衣が怒髪天をかき分けていく。なんとか邪魔して通話は続けているけれど。
電話越しの悟は"ふーん、"と言って笑い声を拾ってる。
『……悟?』
"ハルカ、僕が今から言うこと、そのふたりに伝えてくれる?"