第6章 "愛"も止まらない!
笑い声をやっと押さえた悟は片手を私へ…指先を、私の手やにごり湯で隠れた上半身へと向けて、薄っすらと口元に弧を描いてる。
「ハルカに触りたいから等価交換かなって。触っていい?というか胸揉んでも良い?」
指差す先は私の上半身。ピンポイントで言ってしまえば白く濁った湯の中で片腕で隠してる胸元。
ちゃぷ、ともう一度指差してた片手を湯船に入れた悟は私の返事を待っている。無理に近付けようとはしていないけれど。
今日までに何度かお風呂に入ってる。付き合ってから2週間程経っていて生理中は頑固拒否したけれどそれでもお風呂に一緒に入った回数は今日で6回目となる。
まったく触れさせないって訳じゃない、抱きつく事とかキスしたりもする。私も葛藤はあった、けれど…って。
どう考えても、いくら悟を大丈夫な人なのかって疑っても結局は"好き"に辿り着いてしまう。内心ではもう、男を知らない身体のクセに悟が欲しいって下半身が疼く夜だってあった。抱き枕みたいにされながらどきどきしちゃって凄く意識してた。
触れられたくてもそれを表になかなか言い出せなくて…。肌を重ねるって事はどういう事かを背伸びして早く知りたくて(世間で言うならば進展は遅いのかもしれないけれど)
でもさ、いざその時となったら理想と現実は違うんだろうって処女の私でも分かりきってる。
生唾をごくり、と飲み込んで覚悟は決めた。逃げてばかりじゃ進展はない。止めたり逃げたりの繰り返しで悟に捨てられてしまう事もあるかもしれないし。
最終的に行き着くのに時間は掛かるけれど、少しずつ悟を受け入れたい。よく考えての答えだった。
私はその目を見つめて答える。
『………分かった。いいよ、触っても』
冗談のつもりで言った訳じゃないだろうけれど、悟は瞳を大きく開けて驚いている。
「えっ…ホントに?」
『うん、良いよ?触るくらい。でもそれ以上は駄目』
どきどきしながら、そっと姿勢を正して隠してた腕を退かす。浴槽の底でもじもじと膝立ちになれば、体表を温かいお湯が落ちていき、上半身は湯船の外に全部晒されてしまった。
「わ、わぁ……マジでオッケーしてくれるとは思わなかったんだけど」
『あ、冗談ならここで終了にする?』
「待って、本気だってば!」