第6章 "愛"も止まらない!
47.微裏
学校生活が何日も過ぎれば慣れてくるもの。
そして私生活も、恋人となってから何日も過ごせば幾分恥じらいもある程度は薄れ慣れてくるものだけれど。
慣れないのがまだひとつあった。
バシャ、と湯船から片手を出して私の体を指差す悟。
「いい加減隠すの止めたら?」
『止めない』
生理の時以外は悟とお風呂に入るようになった、というか恒例化されたというか。いや、私が入ってると入ってくるという、誘っても居ないのにさも当然の様に乱入してくるというか。その乱入にもはや驚きも薄くなり慣れてしまったのだけれど、裸体を見せるのにはまだ抵抗がある。
それから流石に私も一回目で学習して湯船に浸かる体が見えにくい、にごり湯タイプの入浴剤を使っている。
でも体洗ったりする時とか太ももを体にくっつけて無理くり隠してるけど、湯船に入る時はしょうがない。
一緒に浸かって向かい合っている悟は両手を湯船から出し、顔の横ほどまで上げている。
「僕のは隠さず見せてるでしょ!」
『見ないようにしてますぅ、気配を感じたら目を閉じてますぅ~』
口を尖らせて言ってやれば、悟はほほう?と強気な表情を見せる。あっ、ヤバいな。何か良からんことを企ててる顔だわ。
ザバァ、の立ち上がる音と共に私は目を瞑った。
「ほらほら~見ろよ見ろよ~!」
『止めてくれよぉ!……ってか、本当に見せないで良いから!小学生か!』
目を閉じ、顔の前で私は片手で制止してる。
その私の手を悟は掴んで、何かに触れされた。温かくぷらんとした柔らかいなにか。
えっ…、と思わず目を開けたらまんまソレで。悟は私の手を掴んでそいつを触ってしまってた。
「いやん!えっち!」
『悟っ!』
あっはっはっは、と笑う悟から手をすぽんっ!と私は引っ込めた。湯船がバシャ!と勢いよく波打つ。
五条の悟に触ってしまった…!変態っ、なんてことさせんのっ!?
ゆっくりと悟は再び湯船に浸かるけれど、笑っているのでお湯の表面がバチャバチャと騒がしく。
掴んでしまった手を私はもう片手で押さえて、未だに大爆笑する悟を睨む。けれども威嚇にもなっていないと自覚してる。多分、私真っ赤になってるだろうし。
『何がしたいの!そう…触らせてさぁ!変態!』