第6章 "愛"も止まらない!
「──でも、僕はキミが僕を受け入れるのを待ちたいからね。無理やりじゃ駄目なんだー…。
だから見ての通りの待ての出来る五条悟君だよ?でも待っているうちに、キミが僕を受け入れるのをもたもたしてる間にトンビに油揚げをさらわれたら嫌だから、僕は"コレ"付けたいんだよね、」
再び埋める頭と、少し場所を変えた所にきっと赤い印が着けられている。とても恥ずかしいんだけれど。
悟のそういう意見が聞けて良かった。私の事をそういう風に想ってくれているんだって嬉しくて、どきどきとした鼓動が落ち着かない。落ち着かない反面、心の奥底が愛情で満たされていくような感覚もある。
また違う場所にチクリとした印を着けてる悟の頭にそっと両手を伸ばし、片手をふわっふわな頭頂部に。もう片手で後頭部を撫でる。
悟はキスマークを量産する作業を止めた。
『私も悟にもっと触れたいって思うよ。でももう少しだけ時間が欲しいな……、』
……素肌に笑った拍子に掛かった吐息が熱い。
「へぇ~…じゃあ是非とも狂犬の口輪を"オマエ"に外して貰おうかな」
見上げる悟はまさに狂犬。レストランで春日について興奮して質問を畳み掛けた時や、春日家の散歩の際の時のような、タガの外れた笑顔。
このゾクリとしたものは恐怖だけじゃない感情もあるんだって私も流石に気が付いている。
小さくため息を吐いて私は少し強張った肩を落とした。
『……でも、悟はキスマーク付けすぎなんだよ。朝確認出来ただけで20近く着けてなかった?昨晩だけじゃなくて朝も着けてたでしょ?
あれはもはやキスマークだとかマーキングじゃなくて発疹かなんかの病気を疑うわ!』
それを聞いた悟はとても面白かったらしく、あっはっは!とひとしきり声を上げて笑った後、私を壁に押し付けしっかりと唇を塞ぐ。
何度も何度も追い求めるように、私を壁に縫い付けるように。
しつこいけれど、こうも求められるのも悪くないな。
私はそんな悟の激しい口付けをしながら、さらさらとした髪を口内で負けっぱなしなぶん仕返しにぐしゃぐしゃに撫で返してやった。