第6章 "愛"も止まらない!
「本当ならすぐに手を出したいんだけれど、キミが僕に抱かれたいって思えるまでは手を出さないつもりだよ……あれ?もしかして、彼女想いな僕ってかっこよすぎない?これが噂のスパダリかな…?五条悟、スパダリだった…これ新聞に載るんじゃない?」
顎下に指を当てて、こちらに決め顔をするので、片手を頭頂部に置いて"まっすぐ前を向いてろ"と修正した。
……格好良いのは知ってるし、私が本気で嫌っていうのを強制しないのはとても嬉しかった。口に出さずともそんな悟が好きだけれど。
『そういう心遣いは凄く有り難くて嬉しいんだけれど、言ってる本人がそれ言っちゃう~?ってかどこの新聞が取り上げんだよ、心の虚構新聞にでも掲載なさいねっ』
わしゃわしゃわしゃ、と髪を乾かす。私より短いから結構乾いてきてる。ツーブロックヘアー故に、後頭部の所がちょっとしゃくしゃくしてさわり心地が良い。
大人しく髪を乾かされる悟はまたこっちを振り向いた。
「天才で最強の僕が恋人だからね、多忙でキミの側に居れない時もあるけどさ……もしもの事があればどこに居ようとも絶対に助けに行くよ」
『………うん、』
乾いたからドライヤーのスイッチを親指で切り、整えるのもありがとうの意味も込めて悟の髪をこちらに向いたままで撫でた。
……ふわふわだ。ふふ、柔らかくて何度でも撫でちゃうなぁ。
『そこは頼りにしてる、けどさー…今日の単独で行くのはちょっと怖かったんだけれど!』
はは、と笑う横に私は並んで座った。悟があぐらなら私は三角座りだ。
始めるのは今日の反省会。ドライヤーを片手に私は自身の髪を乾かしながら続ける。
『いつかはひとりでってのは分かるよ?でもほんっと怖かった!体育館のさー…這う呪い?呪霊?あれワケわかんなかったんだけれど!攻撃もしてこないしさ~…離れた所からぬぼーって見てくるの。見た目は人間ぽくて…って悟、聞いてる?』
ちら、と悟を見るとキスでもされそうな程に顔が近い。
思わずちょっと仰け反ってしまった。
「モノホンのおばけじゃないの、それ」
『……ま?』
悟は真顔で私を見て言う。
この話に真顔は止めて。わたしはゆっくりと首を横に振った。それを真似する様に悟もふるふると首を振る。やめて?