第6章 "愛"も止まらない!
『な、なにしてんの!?』
「マーキング。僕のものって印だよ、これは術式順転で治しちゃ駄目ね、治したら増やすから……っと言ってる間に治しちゃったね、増やさないと…」
ちゅっ、ちゅっ、と音を立てて首筋に悟のキスマークが着けられている。
されるままじゃ…このままじゃいけないと決心して私は藻掻く。
『だっ駄目だって!』
「明日、ファスナー締めちゃ駄目ね!マーキングの意味無くなっちゃうし」
『馬鹿、なんで目立つ所にそうもたくさんっ…!』
バシャ、と上半身を隠しながら立ち上がり振り向くと、少し驚いた顔の悟の双眼と視線が合う。湯船はまだ私の立ち上がった衝撃で騒がしくて波を立てて脚に波が当たる中、視線は私の目から下に……
「……キミ、えっちな身体してんね……あーあ、僕の負けだなぁ。ハルカはのぼせないうちにもう上がりなよ…僕の事は置いておいてさぁ、」
思い切り見られた後だけれどゆっくりと身体を隠す。あれ。悟、真顔になったというか。
悟は片手で口元を押さえ始めた。
「その、なんていうかね。下品なんだけれど…勃起しちゃってさ」
『……は』
そろそろと見たいという訳じゃないのに、下に視線がいってしまった。
「勃っちゃったものは仕方ないよね。抜いておくからさあ、お風呂のお湯も僕のも……ついでに…はぁ。
あれ?流石に天才過ぎない?上手いこと言っちゃったねぇ!」
"勃った"と言った瞬間、見たい訳じゃないけれどその言葉の流れで見てしまったもの。
それは鍛えているであろう、程よく筋肉の着いた身体付き。その私が脚に挟まれた位置、付け根。股間部分に天井部を指し示す、男性のシンボル。
小学生の頃とかにふざけてイタズラ描きをした、あの絵とかけ離れた、凶器のような成人男性のペニス。
見てしまった上に状況を理解したのでとっさに視線を上げる。
すると悟と視線が合った。自信満々の笑顔。
「ほら、最強そうでしょ?挿れてみる?」
『しっ…しないし!』
真っ赤になった私は悟の笑い声を背中に聞きながら、急いでタオルを持って濡れたままに浴室から飛び出した。