第6章 "愛"も止まらない!
お風呂のお湯は透明。
女性慣れしてる悟は置いておき。恋人になりたての私には刺激が強い。心臓がばくばくとうるさくのぼせそうなくらいに熱い。
のそのそと悟側に背を向けて小さくため息を吐いた。縮こまる私の身体を挟むように両足が視界に入る。
「そんなにガードしなくっても良いじゃーん……見ちゃったし!」
『その記憶消去出来ない?』
「えっやだよ?もったいない」
湯船のお湯が大きく揺れる。呼吸が近く感じて、右肩に悟が顎を乗せた。
湯船の中でぺた、と背や脇に手が触れて驚いて身体を跳ねさせてしまった。
クツクツと笑う声が耳元に聞こえて、その余裕さがちょっと憎い。
『何身体触ってんの、そういうのは何が何でも無理だから』
ちょっと私に触れてた手が腹回りに両腕が回される。
変な事したら引き剥がそう、とその手に左手で触れるけれど(もう片手は防御に徹するのみ)
ただ、胸に触れたり下半身を厭らしく触ることはしてない。そこにはホッとした。軽薄な人ではあるけれどケダモノじゃない。
肩や首筋で顔を少し擦り寄せ、耳元に近付いたのか呼吸音が良く聞こえる。
「流石に無理にはしないって。けどさぁ…クるものがあるんだよねー」
くるもの?と私はオウム返しをした。
悟は耳元でわざと話している。
「普段大きめな服着て、制服でも隠れてるけれどさ……良い身体してんだね、ハルカ。僕の悪い狼さんの"口輪"を外してくれるのか楽しみになってきた。
……キミを抱けるのはいつになるんだろうな?」
『…っそ、そうやって耳元で話さないでよ…くすぐったいなぁ!』
背中からぞくぞくとなにかが駆け上がってくる感覚。
悟は小さく笑って、背中側からぎゅっと抱きついてきた。
『ひゃっ、』
バシャ、と私が驚いた拍子に波打つ湯船。
悟は私の腹回りに腕、背に腹、私の両脇を脚…と、しっかりと彼の中に居る。
どきどきと忙しない心拍音が聴こえてしまう!
「ククッ……感じちゃってる?」
『なっ……んなこたぁないっ!絶対に!』
ふーん、と言って首筋に唇を寄せてる。
自身を抱き隠す腕の一本、右手で悟の頭を押さえる。濡れた子犬みたいな毛質だ、と思考が途中のままにチクリとした痛み。