第5章 "好き"が止まらない!
下半身を切り取られた呪霊は上半身で地べたを這っている。それはハルカに対して不利・恐怖を見たという事だな。
ハルカは二階から飛び降り、怒髪天の召喚した式髪で上手く怪我をしないように身を守って着地した。そのまま呪霊へと寄っていく。
僕としては怒髪天は捕捉や鞭、突き通すものだとばかり思っていたけれど。
「……ははっ!そういう使い方もあったか!」
こちらに逃げてくる呪霊を追いかけて、彼女は召喚した式髪を捻じる。その捻った形状は槍。
ハルカはしっかりと呪霊に槍を突きつけてトドメを刺し、グラウンドにオレンジ色の眩しい明かりが揺らめいた。
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『お腹減った、本当に…本当に回らない寿司で腹を満たせると言うんだな…?先生よぉ~…』
「本当の本当にザギンのシースーなんでしょうね?先生?」
ぞろぞろと…まるで親鳥に着いていく子鴨の様に私達生徒4人が悟に着いていく。
悟は日曜の夕方のとある巻き貝と愉快な海産物一家のエンディングの様に後ろ歩きをしながらサムズアップした。
「もっちろんですとも!」
「ナイスリクエストハルカさん」
『私も食べたかったの、野薔薇ちゃん!』
道端でハグをしあった。寿司が食べたい、そして追加で日本酒という所か。そういう所ならきっとお寿司に合う良いお酒があるに違いない。
釘崎との肌が離れた所で悟はこちらです……と言葉にしてないけれど、指差した先を見て目を擦りながら瞬いた。
これは夢かな?幻術かな?イザナミか?やっぱり幻術だな?
「先生…?これ、回らない…お寿司……」
瞳からハイライトを消した釘崎は店舗を指差している。
私は外に出ている立て看板の写真を見て悟をもう一度見た。そんな我々ふたりの挙動不審な姿を伏黒が後頭部を掻きながら大変言い難そうに私に伝える。
「あー…みたらい、先生にリクエストする時は言い逃れが出来ないレベルで指定した方が良いぞ」
『いやさ、ね?その…私は回らない寿司っつったよ?
けどさ、誰がちらし寿司専門店を想定出来た?ちらし寿司がレーンに乗って周ってるとこ誰か見たことある?そんな愉快な光景、見たことあります?五条悟先生?回らない寿司=ちらし寿司ですか?ん?』