第41章 白銀の歪んだ呪いの鎹-Cursed clamp-
「ほら、お寝坊さん!早く起きないとパッパがハルカちゃんのご飯、全部食べちまうぞ~?」
『………やー!』
「はっはっは!…朝から元気だなあ。ほら、さっさとご飯食べてパパと保育園に行くぞ!保育園に行ったら新しい友達たくさん作ってこいよ!」
パパの言葉にこれまでの事とか昨日の事を思い出して急に嫌な気持ちになっちゃって。
本当は行きたくないけど、我慢しないとパパとママに今までみたいに迷惑を掛けちゃう。ゆっくりと頷く私の今日の服をパパはタンスから取り出してくれていた……。
****
「それじゃあ、ハルカ。夕方に迎えに来るからな!シャキっと元気に、友達100人作ってこいよっ!」
『(保育園にそんなに人、居ないんじゃあ……?)』
パパは保育園に私を残して駆け足で仕事に向かって行っちゃった。
優しそうな先生達は大丈夫だよ、夕方にはパパが迎えに来るからねって声を掛けてくれるけれど、私がいまいち嬉しいって思えないのは、パパと離れ離れになったからじゃないもん…保育園がイヤなだけ……。
どうせ、また髪色で馬鹿にする人が居るよ?それが同じ髪色でも女だからって嫌がられたり。昨日の男の子みたいにさ…?
保育園の敷地内で自由に遊んでるみんな。
新しくやって来た私が珍しいって、みんなが自己紹介してくれるけれど、一気に覚えられないし。どういう子とならうまくいくのかも分からなくて、私はひとり、その子達から少しずつ離れて、ひとりで保育園の裏までやってきて。
まるでかくれんぼみたいにさ、建物の影でしゃがみ、そのままコンクリートの上に座り込んで膝を抱えてた。
……我慢したけど怖いなら逃げたほうがいいし。
嫌な気持ちになるのなら、酷いことを言うお友達なんて…要らないし。家に帰ればママとパパ、お姉ちゃんが居るもん…私、ここを我慢すればひとりぼっちじゃないんだ。
天気は良いんだけれど日陰って寒くてさ…。
なんでパパったら「今日は暑いだろうし、子供は駆け回るもの!半袖だー!」とかいって半袖の服を選んだんだろ。寒くって鳥肌を立ててぶるぶると震えてる。
そんなひとりぼっちの私の所にジャリジャリと砂粒を踏んでやってくる一人分の足音。