第41章 白銀の歪んだ呪いの鎹-Cursed clamp-
おばちゃんは私から顔をそむけておばちゃんの後ろの方を向いて。
「丁度あそこで砂遊びしてるから一緒に遊んであげて頂戴な!すこーし無愛想気味な所もあるけどホントはいい子だから…ねっ?」
ぎゅっと手を握ったままのママを見上げた。私は本当は怖いから帰ろうって気持ちで見上げていたんだけど、ママには私の気持ちはその反対だって思われたみたい。
にこ!と笑って私の手を握り返す手から力が抜けて、ママの手は私の手からすり抜けて。繋がれていた手が寂しく空気に触れて、私は急にひとりぼっちの気分になる……。
「ほら、砂場にいってらっしゃい、ハルカ!お引越しして早速お友達ゲットね~、良かったじゃない!」
とん、と背中を押されて。ここまでされちゃお家に帰れないし、逃げられない…とぼとぼと嫌な気持ちでひとりで前へと歩いてさ……。
──砂場かぁ…、またシラガシラガって言われて、おばあちゃんだって笑われて…。
砂とか泥団子を投げつけられるんじゃないのかなって逃げ出したいくらいに怖かったけれど、助けて欲しい気持ちで振り返れば、笑顔のママ達が手を振って「いってらっしゃい!」って大きな声で応援して笑ってるから、ここからなんて逃げられなかった。
やだなあ…、帰りたいなあ……夏の日の花火の煙みたいにすーっと消えてしまいたい。靴の裏を引き摺って、うつむきながらママのお友達の子が居るっていう、砂場に少しずつ近付いて。
……。
遠くじゃ分からない、必死に砂の山を作りあげる私くらいの男の子。
この子ならきっと、仲良くなれるんじゃないのかなって、まだ挨拶もしてない私だけれど親近感が沸いてきた。おばちゃんが白かったように、そこに居る子の髪の毛は白い。ばくばくと騒がしい胸、私は固唾を飲んでその真剣な男の子の背中に声を掛ける。
『こ、んにちは!……わたし、ハルカ、です。みたらい…ハルカって言います』
ピタ、と一度動きを止めたその子。私とお揃いの白髪の男の子。水色のパーカーに黄色っぽい半ズボンを履いて山盛りの砂を両手でぱんぱん、と形を整えながら私を向いた。
『……っ』
すう、と思わず息を吸い込んだ。だって、髪の色はお揃いでもその子の私を見るその顔、その瞳は真夏の空や太陽に照らされた水辺みたいにキラキラとした青い瞳で……じっと見てるだけでその眼に吸い込まれそうだったから。