第41章 白銀の歪んだ呪いの鎹-Cursed clamp-
不安。なんか、一歩が進めない……胸が苦しくて息が、空気が重たく感じる。
怖くて俯いてママの手をぎゅっ、と握った。やっぱり帰りたいって気持ちが勝ってる。お家なら、前のお家でも今日から住むお家でもどっちでも構わないから。公園で遊びたい気持ちなんて全く無い…、とにかく私、帰りたい。
『…ま、まやっぱり…──』
俯く私にサァ、と服が擦れる音。ママが私に合わせてしゃがもうとした瞬間、しゃがもうとしたママはすぐに立ち上がる。
「あらっ、先日はどうもー!」
私が話してる途中でママは知り合いの人を見付けて、立ち止まってた私の手を少し引っ張って公園へと進む。足がちょっともつれるようになって、引っ張るママに着いてく私……。帰りたかったのに無理やり足が進められちゃった。
私がママに似たように、ママの髪は真っ白なんだけど、その知り合いのおばちゃんもおばあさんじゃないのに髪の毛が真っ白で…。
……確か、パパの仕事の都合の他に、新しいお家のある街には"親戚が居る"って言ってたけれど、その親戚なのかも。遠い場所にたまたま知り合いが居る…なんて事、そうはないだろうし。
手をしっかり繋がれたままに楽しそうに笑い合ってるママ達を見上げる。私が意地悪をされた原因は髪色なのに、世の中にはおじいさん・おばあさんじゃなくても白い髪の人はこんなに居るものなんだな…なんて見上げて。
「法事で会った時はお世話になりましたー、丁度うちの旦那の転職先も悩んでた所でお宅も近いって言うんで~、私も甘えさせて貰ってぇ……、」
「いいんですよー、うちも共働きでねぇ、子供の遊び相手にも丁度困ってて!お宅ン家の子がうちの子の遊び相手にもなってくれたら良いんだけど…」
その親しげなママのお友達は私を見て、少し屈む。にっこりと笑う表情には悪い気持ちなんて感じない。
「ハルカちゃん。うちの子も丁度公園に遊びに来ているのよ?明日からハルカちゃんが通う保育園にも居るからね~、だから仲良くして欲しいな~?」