第41章 白銀の歪んだ呪いの鎹-Cursed clamp-
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私の顔の近くの、大きくてあったかいママの手をぎゅっと握って、知らない街の歩道を私達はとぼとぼと歩いていた。
私よりもずっと背が大きく、その歩く一歩が大きくても私に合わせて急がず歩いてくれるママ。俯いていた私に頭の上からハルカ、と私の名前を呼ぶものだから、私は歩きながらママを見上げた。
私が見上げたのを見て、優しく微笑む私の大切なお母さん。大好きで優しいのは知ってる、なのに胸がぎゅう、と苦しくなる。
……私のせいで、私の我儘で…。
「……こっちのお友達、意地悪な子が居ないと良いね?」
『……うん』
少し前に通ってた保育園を思い出した。
私の髪色をシラガ、シラガと笑って、まるでお婆ちゃんみたいだって笑ってた、意地悪な子たち……。
保育園に行きたくない、お家に居たい。
始めは私も我慢も出来たけど、男の子も女の子も揃って私の事を指差して笑うから、その我慢も出来なくて。泣いて叫んでいたら、私を抱きしめてくれた、私と同じ髪色のママ。
パパの仕事も丁度遠い場所に決まったし、遠い親戚も居るその場所で新しいお友達を作ろうって私を優しく抱きしめて、背中を何度も優しく撫でてくれた優しいママ……。
そうやって前の街にさよならをして、やってきたのは新しいお家のある街。前のところよりも街は賑やかで、これから私達が住んでいくのは中古っていう、昔誰かが住んでたお家に住む事になってる。
前のお家の荷物をたくさん運んで引っ越しは大忙しだった。
引っ越し作業の合間にパパは「遊んでおいで」と私とママを新しいお家から外へと優しく背を押して。パパはパパの知り合いの人に手伝って貰ってタンスとかテーブルみたいな大きな荷物を運んで忙しそう……。
そんなパパにママと手を繋いで「いってきます!」ってパパの言葉に甘えて近くの公園へと向かってる。
うん……公園は楽しいのは知ってる。ブランコ、滑り台、砂場……。でも、公園前で立ち止まった、私から見て既に遊んでる同じくらいの歳の子達がみんな優しい子だとは思えなくて…。