第5章 "好き"が止まらない!
「いぃ~…す…ぅん」
──"怒髪天"
白くて靭やかな式髪達が撚り合って、しゅるしゅるとまっすぐ伸び鋭く突き刺さる。刺さった場所から燃え上がり、傷を広げればブチブチ、ブツ…と音を立てて分解されていく。
「グォ…アッァァア!」
ボドッ…ボトボト、と呪いが祓われて転がってゆっくり消えていく。二体目を祓い終えた…。
じゃあ、もうこの図書室には居ないかな。私は周囲を警戒しながら図書室を出てドアを締める。
その引き摺るドアのガラ、という音が大きい。ただでさえ私が寄せるっていうのに、と静寂の中の大きな音にちょっと恐怖しながら、先に進んだ。
せめて何階のどこに呪霊が居ますよ、くらいのヒントが欲しいものだけれどそれは我儘だし。実際は自分の足とか感覚だとかで見付けないといけないもんねぇ…。
『はぁー…、』
曲がり角の真っ直ぐな廊下。非常口のライトにぼんやりとシルエットを出す影。図書室に居たのは低級の呪いってのが分かるし、調子に乗らないように気を付けてそのシルエットに向かっていった。