第40章 悔いのない人生を
……ったく、しょうがねえなあ~…、元気な五条悟が不在だと不安なんだろ~?
「ほらほら、ぼーっとしてんじゃねえよ、仕事行くぞ仕事!」
「は、はいっ!?」
「その前に甘いの欲しいからジェラート専門店寄ってー、食べながら行くから。あ、その後コンビニもよってよ、欲しい物ないか店内練り歩きたいし?」
……いつもの調子の僕じゃなきゃ、オマエも心配するだろ、ハルカ…?
僕は少し嬉しそうな伊地知がアクセルを踏んだのを見て、遠ざかる墓地をいつまでも横目で見つめていた。
****
任務も学校も早めにやるべき事を切り上げて家に帰り、その際に高専での生活を送っている二人も明日のお弁当作ってあげるから!と一時的に連れ帰って。
この世界に残された僕と七人の子供たち。
上の子は十七歳、下の子は九歳。僕の可愛い子供たちを前にしてカチャカチャと食器を鳴らし、母親の居ない大家族の食事は普段よりも会話は少なく、進められていく。
黙々と食べる子、がっついて箸を動かす子……。少しずつだけれどあの日と比べると元気を取り戻し始めてる。
「学校、最近どう?」
そう話し始めれば、各々の様子を口にして笑顔を浮かべてさ。
元気な姿で僕の知らない学校生活を話す子供たち。その七人を見渡した。
男の子達は本当に僕にとても近い容姿で、ハルカの面影を残した子達。この子らには当主として継ぐ素質は誰にでもある、あるけれども双子はどっちの子も呪力は呪術師としては乏しく呪術師として行きていくには向かない、呪力容量の少ない体……当主として引き継ぐとしたら長男が無難だろう。蒼空自身も察しの良い子だから、きっと五条家を継ぐとしたら変に断ることもない。蒼空に僕が務めている当主という位置を継がせたいと思ってる。
じゃあ、女の子達はどうなんだろう?上の二人は長く髪を伸ばし、下の二人は肩よりは下ほどの髪の長さ。良くひとまとめにして髪を上げてる姿を見るけれど、今日もその姿を見るとハルカが髪を纏めて上げてる姿をぼんやりと脳裏に浮かべてしまう……。
……駄目だね~…僕。心のどこかでもう居ないハルカを探しちゃうんだわ……。