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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第40章 悔いのない人生を


ただ、その自由なハルカが欲しかった。
ふらふらとした猫みたいに気まぐれな女。女なんてさ、俺の素顔でグラサンずらして見つめて、ちょっとだけ相手に微笑んでやればイチコロで落とせた。プライドとか暇つぶしとか、見せつけ、性欲の処理とか女なんて簡単にいくらでも補充が出来て困んねえってのによ、ハルカに出会ってからはそうも行かない。遠い昔に出逢い、その気持ちを忘れさせられても本能に染み付いた彼女に感じる恋をした本能だけは違った。呪術で記憶を消す程度じゃ、あの夏、俺に芽生えた気持ちなんて消せなかったんだ。

あれだけ遊びまくってた俺に本気の恋を教えてくれた彼女。でも、彼女に関しては素顔で微笑んでも女らしい態度を取りながらも顔を隠せ、だとか他の都合の良い存在とは違った、特別な存在としての態度が桁違いだったんだよ…。

好きになっても良いのに、好きにならないように我慢しちゃってサ……弱いくせに強がって、滑稽で、でも可愛くて……。
なんだかんだいって、一緒に居て楽しかった。喧嘩もしたけど、仲直りしたら喧嘩前よりももっと仲良くなって。夫婦としての男女での在り方ってか、身体の構造?セックスの相性も最高に良かったし、理想的にお互いの血を、術式を残せる呪術師としての良い組み合わせだったと思う。十人以上を求めてた俺もハルカに結構ハードな人生を強要してたけどよ、七人も作ってれば充分か…。

恋人としても、教師と生徒としても。なんか気恥ずかしくって言葉にしなかったけどトモダチ…という関係の延長線を日々繰り返してたから、今までの女と明らかに違くて。のめり込むように本気で愛してた。
イラつく事ももちろんある。俺だってハルカを苛つかせた。お互いに全てが完璧じゃないからこそ、学ぶ事があるし、飽きなくて楽しくって…。

その日々はさっき終了した。死んだ俺の代わりに最期のプレゼントとして身代わりになって、彼女はあるべき場所へと還っていったんだ。
だから、任務を終わらせてただいまって家に帰っても向かえてくれる笑顔も、柔らかい体も唇ももうない。彼女からのプレゼントを返すと言っても返し先はもう無く、愛したキミはもうこの世にいない。

しゃがんだ俺はそっと血の滴る彼女の抜け殻を抱きしめた。
ぐじゅ、と嫌な濡れて崩れる音と見た目の形状を崩れさせる腹部辺りの抱き心地。慌てた硝子は俺の腕を掴む。
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