第40章 悔いのない人生を
人の体もこうやってチョコエッグに入ってるおもちゃみたいに組み立てるんだな、と肉体の側で僕は立って自分の身体がちくちくと縫われていく姿を眺めてた。全裸だけどちんこ見てもふたりはひとつも笑わない。いっその事笑ってくれた方が楽なんだけど辛気臭い。
良く聴こえないけどたまになにか言葉を交わすくらいで真剣に作業して…表情なんかもやけに神妙な顔しちゃってさ……。
せっせと僕の肌に着いた血を拭いて、何か思ったらしい硝子によってお化粧されちゃったりして。身体を転がされて背後とか両手両足持ち上げられて、ダダ漏れの血を拭われ、血が着いたちんこも作業みたいにその血が綺麗に拭かれて…。
いやーん、ズッ友に大事なトコロ、触られるとか死んでも思わなかったんだけど!と僕一人で騒いでいるうちになにやらふたりは引き続きぼそぼそとなにかを話し合ってる。
……蘇った死者が振り返る話には、周囲の人間の話が聴こえると聞いたことがあったのに、どうやら僕の場合は耳が聴こえないみたい。僕は目が良かったからこの場を見続ける事が出来てるのかな?
僕の身体に布切れが被せられ、硝子と傑がせっせと床を掃除してる。肉体がバラバラであれば切り口からの血は血流無くともこぼれ落ちて酷いものだった。
最期まで僕が散らかしちゃってごめんね~?……散らかすって事、ハルカに良く玄関の靴片付けろ!お菓子の袋、なんとかしてよってよく言われたけれどさ、僕の最期はこういう散らかしエンドかあ…なんて自分じゃどうしようもない現象にテヘペロ☆と傑の真横でしてみたんだけど、当然コイツは気付かなかった。
……とりあえず、傑のその仏頂面がムカつくから目の前で変顔しとこ。こっち見ろよ、こっち。
「……(気付かないから全く笑ってくれないし~…)」
霊体の僕が生きたふたりを邪魔しようにも邪魔出来ず、僕の肉体周囲の片付けを終えた後、何人かに携帯で硝子が連絡を入れていて、このふたりしか居ない空間に真っ先にやってきたのはハルカだった。
僕についての連絡を受けて息を切らせてやって来たんだ…、オマエをこうして置いていってしまうのは心残りかな…。
彼女は布を被せられた僕を見てどう思うんだろうな。笑う?怒る?それともなにも思わない?どう感じるんだろう、と思えば取り乱すように彼女は泣き崩れて。