第40章 悔いのない人生を
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あーあ、ヘマやって死んじゃったなあ~……だなんて僕一人の反省会。そんな後悔をしながらも僕は自分の散らばった肉体の側に立ち、その場から離れる事が出来ない……そういうモンなのかなあ~…死者って。
呪術師は天国とか地獄とかあんのか…?呪力を持った攻撃を受ければ呪いに転化しないっていうけれど。
最強の僕が呪いになんかなったとしたら特級になっちゃうね。まあ、そうはならんけどさ。
生まれ育った五条家での幼少期、高専でのダチとの出会いと初めての恋、大人になって目指していた教師になれた事。
初恋の相手のハルカとの再会と燃え上がる恋。愛、それから幸せな結婚生活……最高の家族との人生。
あれ?僕にしちゃあ割と呪術師の割に良い人生だったんじゃない?ちょっと休み少なすぎて家族サービス少なめだったきがするのはアレだ、ブラック過ぎたしこき使ってきた上層部はもれなく全員タンスの角で脚の全ての指強打して死ね。
スター・ウォーズみたいに盛大に盛り上げながら人生を振り返り、僕の中でスタッフロールを流しながら(手前でかく、奥になるにつれ幅が狭くなるヤツね!本格的に超大作にしたいし)言葉の出ないのにテーマソングを口に出そうとしながら、やけにしょんぼりとした補助監督生や傑に身体を回収されていた僕を眺めてた。
……まあ、ここで「五条悟が死んだ!やったー!」なんて喜ばれでもしたらこの場で僕も過呪怨霊にでもなってたわ!憂太を想い過ぎる里香みたいに僕もなるのも面白いかもね~、まあ、そうなったら傑に飲み込まれる未来もありそうだしそれはヤだからならないけどー。
「……(あっけなかったなあ~…)」
死ぬってこういうものなんだって初めての体験をしてる。なんかウケる……いや、僕もハルカじゃないけど以前に死んだ経験したっけ、恵の父親であるアイツに殺されてさ。
ギリギリ反転術式を使ったから生きながらえたんだけど……でも、今回のは流石に反転術式なんて出来ないから完全に死んでるよなあ~…マズったよ。
後悔してもしきれない、悔やんでも悔やんでもどうしようもない。運ばれていく遺体回収バッグにリードを繋がれたみたいに側から離れない僕は、そのまま死亡現場から解剖室へと辿り着き、そこには硝子が待っててさ……。
傑に手伝われながら硝子に元の形に組み立てられていく僕の身体……。