第40章 悔いのない人生を
「うん、これであと少しの間離れて居ても、よりハルカを感じられて安心だ!」
『…ん、"あと少し"?もう少しで悟、帰って来るの?』
フォークを手にした所で青い瞳が私を見て片目だけ瞑り、ばちん!とお茶目たっぷりにウインクをした。
「ん、そうそう!出張してから二ヶ月くらい経つけど、そろそろ帰れる見通しがついたの。
キミの大好きな旦那さんに子供達の尊敬するパパが居なくて寂しくしただろ~?ハルカのその顔見れば分かるよ、うんうん!蒼空も夕陽も僕が居なくて寂しかったんじゃない?」
ご機嫌に私から同席してる子供達に顔を向ける悟だけれどさあ…。
「いや、あたしは別に、」
「しっ…!夕陽、面倒くさくなるからっ」
しらーっとしたチベットスナギツネのような表情で何か言いかけた夕陽の口を急いで蒼空が手で覆う。
その様子に少し下唇を突き出し、物申したげになった悟。これはご機嫌が段々と斜めになってくる…と慌てて『ここの二人も含め私も、家の子たちもみーんな悟が居なくて寂しいってサ!』と夕陽が言いかけた言葉を塗り替えるように言えば、悟の表情は凄い勢いで晴れ模様になっていった。
……拗ねるよりはこっちの元気な彼が一番だよねー……ご機嫌斜めになるとめんどくさ…ううん、可哀想だしこの後の任務にも支障が出るかもだしさ。
「もうすぐで帰れるからねー、長期出張したんだから地べたでのたうち回ってでもゴネてゴネてゴネまくって休み取るよ。
ああ、家族サービスとして久しぶりに全員で旅行に行こうよ!僕が帰るまでに行先は皆で考えて?きっと僕が帰るまでの寂しい時間も、そう考えてりゃ楽しい時間になるだろうし!」
にこにこと微笑み「どこになるのか楽しみだなー!」と無邪気な子供みたいな悟。帰った時の楽しみのひとつになったみたい。
思い出したように私は悟に『あっ、悟』と声を掛けると、食事を再開しようとした動きが止まって私を向いて意識がこちらに集中してる彼。
「なに?どったの?」