第5章 "好き"が止まらない!
私含めた4人がじっと見る、引率というか教師に見えない悟はずっと皆の様子を傍観していてははっ、と笑った。
「キミ達~…ハルカみたいに宿題出してやろうか?」
「「「いいです」」」
私を覗き込む釘崎は二歩下がって虎杖と伏黒と同じ目をしている。
こいつ宿題出されてたんか……という哀れみの視線。はい出されました。音読の宿題をね。隣にいる状態で読まされましたよ、全く…小学生の保護者に聞いてもらう音読か?
ブゥ…ーン、という普通車とは明らかに違う走行音と、徐行してくる大きな車体。いつの間にか時間が来たようでバス停にバスが停車する。
「よーし、さっさと行ってザギンのシースーねっ!」
『「おう!」』
バスがやって来て釘崎を先頭に乗り込む5人。
さて…私達を待ち受ける場所とは……。
「廃校ねぇ…いかにもって感じだな」
伏黒の言葉と共に皆が見上げたコンクリートの固まり。学校の合併だとか校舎の老朽化で廃校になったと思われる場所は荒れ、立入禁止のバリケードから見える小さなグラウンドには背の高い雑草が所々に生えている。季節が秋であればハロウィンが似合いそうな。
そのバリケードに手を着き、悟は私達を見た。
「今回は解体作業する前に祓おうって話。調査済みでねー…ジャジャン!呪霊、お望み通り居ます!
僕達は外で待ってるつもりだけれどなんかあったら連絡よ?それとハルカ」
『はい?』
私を指して口を尖らせる。
「とりあえず帳番、帳オナシャス」
『あ、ああー…帳ね、ハイハイ…、』
──"闇より出でて闇より黒くその穢れを禊ぎ祓え"
空から黒蜜を掛けた様な、闇がドロドロと広がっていく。
おお、初の帳だ、とちょっと嬉しくなった所で更に悟は空を見上げる私の額に指を当てた。
「こういう時だからこそやりたいんだけれど、キミの"怒髪天"……恵が触れても大丈夫かどうか試したいんだけれど良い?」
禪院の血があるからどう作用するかが分からない。試すことなく何かの時にその分からない力を出すのは確かにリスクがある。悟の言葉に一度私は頷いた。