第40章 悔いのない人生を
私が渡したお守り…という名のミサンガは悟自身で治癒に使う事も出来るだろうけれど、彼自身が反転術式が使え、怪我は治療が出来る。だから本当は悟に持たせても意味はないんだよね。
見た目、何か願掛けでもしたミサンガみたいで、ひとつのファッションといえばそうとも言えるかもだけど……。
おちゃらけて使っちゃったからって言ってるけれど、悟の性格を考えれば多分、任務中で危険な目に遭った人に着けさせて、そのミサンガに悟が呪力を流して"髪夜の祟り"を発動させたのでは。悟は自分自身に使えても他人の怪我は治す術式ではないのだから…。
それで私の地毛編み込まえたミサンガにその怪我人の怪我を吸い取って"使用済み"となってるんだ。
……それくらいお安いご用よ!とサムズアップしたスタンプを悟に送ってそっと携帯をしまう。彼自身は最強なのは昔から変わらず、今だってたまーに稽古をつけてもらうとその強さは現役であると実感する。
私が持たせたのはもしものもしもに役立って欲しいって事。でも、彼が人助けに使うのならそれも悟の優しさなのだし、構わないよ。優しい彼は今も昔も大好きなんだから…!
隣の息子を見れば、頬を膨らませてもぐもぐとサラダを食べてる。その皿が空きそうになればあちこちの席から食べざかりはこれも食え、あれも食え、と酔っ払い達の猛撃を受けてる……
うん、食べろ食べろ、食べてでっかくなって、悟を越してやれ、とその皆の押しにたじたじな蒼空を見て笑ってさ!
こうして私は夕飯としてのおつまみ達とお酒を、遅れてきた伊地知たち三人も合流した皆で楽しみながら彼が居なくても賑やかな夜を過ごした。