第40章 悔いのない人生を
少し頭を下げて、隣の蒼空を見れば苦笑いをしてた。
悟に似てるとはいえ何でも見える眼ではない、彼よりも少し色の薄い瞳。色の薄い虹彩だから日差しの影響が強く、また人の視線もあるので悟と同じくサングラスをしてる。それが余計に周囲の呪術師達を混乱させる見た目で、大抵好印象を持たれるのは息子の方。
……近年は加齢もあり、見分けがつきやすくはなってきてるとは思うけど。
旦那も息子も目の負担が掛かる都合上サングラスを掛ける、という事でふたりしてグラサンのシェアもしてるんだけど。蒼空は六眼での情報をカットする為の濃いものは着けない。したがって昔悟がデートの時とかに使ってたヤツとか着けてるんだよね。
その息子が言葉にしなくても困った父さんだね、と言いそうな表情してる。悟があんたくらいの時はめっちゃ口悪かったのにこの子には反抗期って無いのかなー……。次女は反抗期真っ最中なんだけどね?つっても可愛い程度の反抗だけど。
「注意入れるって言っても父さんしばらく帰ってこないんじゃなかったっけ?メールや通話じゃあの人は反省しないよ?」
やや声量を落として出張中の悟に今更注意しても無理なんでは?とあの人の性格をよく理解してる蒼空。そりゃあこの子が産まれてから今まで父親である悟を側で見てきたんだから、父親の内面がどのようなものかを理解してるって事。
『あら、よくご存知で?』
「そして一度二度くらいは反省した素振りを見せてさ、伊地知さんたちにまた同じことを繰り返すフラグなんじゃないの?」
そうそう、いつもやるパターン!一度注意されて反省したように見せて結局学んでないってヤツね!
『それな』
そこまでお見通しか~…と、同意見の為にうんうん私も頷いて布のおしぼりを開いて手を拭く。少し遅れてきた割に中はまだ熱を残し、ほかほかしてる…。
そのおしぼりを置き、隣の息子を見ながらさ。
『長期任務だもん、帰れる目処が立ったら連絡するって言ってたけどさー…悟にしては今回、長引いてるんだよね……。
まっ、とりあえずはメッセージで忠告を。実際に会った時にしっかりと正座して貰って注意しとくよ。しばらくしたら同じことをやりだすから定期的にしっかりと注意しないとだよねー』
「どうせ反省させたとしても空中座布団とか言ってふざけると思うんだけどな~……」