第40章 悔いのない人生を
至近距離で首を傾げて優しく笑う彼の口元。そんなの、いちいち聞かなくてもこの人は私の答えは分かってるでしょう?嫌だったら速攻止めてるであろう、このルーティンはずっと続けているんだから。
『嫌なんかじゃないよ?』
……ただ、ふたりならね。
軽いものは良いけど、流石に子供の目の前で思いっきりキスするのは教育上に悪いから、たまにやるそれは止めて欲しいけど…っ!
私がふっ…、と笑えば彼は調子よく短い笑い声を上げる。
「だよね~、じゃあ、次はただいま&おかえりなさいのハグ&キッスだ!皆が喜ぶお土産、楽しみにしててねっ!」
「戸締まりしっかりしてキミもお仕事頑張って!」そう言ってご機嫌に出かけていった悟。
いつも思うんだけど荷物も身軽で、今回出かける前にハードなセックスしてから長期任務になんてよく行けるよねえ~……、私だったらちょっと仮眠してからでっかいキャリーケース引き摺って行ってるわ。
『──って、私ものんびりしてる場合じゃないんだった』
私も出勤しよう。リビングルームに向かって先に伊地知に連絡を入れてから車で高専向かおう。なんかもう、朝から色々と疲れちゃったけどさ!
そうして私と悟が離れ離れになった忙しい朝。私は少し気だるい体でゆっくりとお昼出勤として高専に向かっていった。