第40章 悔いのない人生を
「ククッ…、こんなに可愛い妻を置いて行くなんて、ほんと辛いよ。
もっとしたいな…、おかわり頂戴……?」
わざと瞳をおねだりする少年みたいに潤ませて拒否権なんて無い、甘えた顔を見せる悟。そんな顔されたら…うん…、拒否なんて出来ないじゃん……。
そのままに腰を動かし、中で硬くなっていく悟のペニスがもう一度、と私の中で上向きに突き上げ始める彼。背を反らせて、全身に駆け抜けていくような快感、胸にしゃぶりつき、激しく腰をゆさゆさと振ってまた中にたくさん悟が私の奥への我慢したモノを注ぎ込んで……。
盛り上がればそれだけ時間を忘れちゃう。
こうやって一回一回を楽しみながら何度もお互いが果てた回数を重ねてる場合じゃないんだってば、と悟が私の身体を持ち上げておかわりのおかわりをしようとした所で、ストップ!と制止を掛け、とりあえずは今回はこれで終わり。
「……えー…?もう終わり?まだ僕らイントロじゃない?サビに入りかけじゃない?ラストサビまでまだ掛かるでしょ~…」
『はーい、TVサイズに短縮して下さいね?悟、これから仕事だってのにフルバージョンにしようとしてるでしょ?』
二度も出しているんだからもう良いでしょ…この続きは出張から帰ってきた時のお楽しみにすれば。
「でも、」
『おしまい!でももだってもないの。
さ、さっさとシャワー浴びる!』
私も浴びたいけど先に悟を優先しなきゃ。
おねだりは無効でマジで終了を悟ると、やや未練のありそうな背中が「クゥ~ン…」と子犬のような声をだしながら浴室に向かうのを私は見送る。
シャワーを浴び終えた彼はいつもの上下黒の服とアイマスクをして、笑顔で両手を広げる玄関。
はぁー……やっと出発の時が来た、と壁掛けの時計を見ればもう十時を回っていた。
「ほら、いつものおまじないがないと!僕頑張れないからさ?」
ずっと変わらないルーティンの時間。
『はいはい、全く…よぼよぼになってもこのやりとりやらせるつもり?』
さっきまで散々に触れ合っていた身体。服越しの体温と優しく口付けた唇がゆっくりと離れて悟は緩く唇に弧を浮かべてる。
「ん、そうだね~…どっちかが寝たきりになってもベッドから見送りって人生設計も良いね?もちろん、足腰が丈夫で玄関からの見送りが出来れば一番なんだけど……。
キミはいってらっしゃい・おかえりなさいのちゅうはお嫌いだったかな?」