第40章 悔いのない人生を
『早くやりたくて奪衣婆かってくらいに脱がしに掛かって来るけどさあ~……私、ちょっと寝室に忘れ物あんだけど取って来て良い?』
私が寝室に行った時はシャワー前の着替え目的で。悟は仕事着を一時的に私服に着替えてたんだけど。だったらその時に避妊具を持ってくれば良かったんだけどな、と寝室の方向に顔を向ければ、するりとインナーを外され、部屋の空気に触れる私の下着姿。ふふ、と小さく笑った彼が「ピンク色の可愛い下着だねえ、」と下着の肩紐を指でなぞる刺激がくすぐったい。
「……忘れ物ってゴムの事でしょ?ンなもん今日くらいいいじゃん」
『あのね、いくら昔にサッカーのチーム作れるくらいに子供を作ろうって言ってても、私達の年齢を考えなよ~?』
互いに四十過ぎていて。既に七人も子供を作っていて今からどうしてもっていう焦りなんて無いはず。私もまだ生理は来るから身体はまだ子供を作る可能性を残してるんだけど。
末の子の鎹は今年で九歳だし、今更妹か弟を作られても困るんじゃない?
……あの子の後にも何度かチャンスはあった、けれど授かった!と思ってもその子達はきちんと身体に定着せずに育つことなく。そうやって三度の八人目となる子供のチャンスを失ってる。
だから、私にとっては鎹で最後の子だと思って二年前から可能な限り避妊をし続けていたのだけれど……。
悟は私の手首を掴んでソファーへ座る悟の体に雪崩込ませた。
『ちょ、』
膝からソファーへ。彼に覆いかぶさるようにした所で咄嗟に彼の両肩に手を置き、ぶつかりはしなかったけど。悟は私の唇に人差し指をむに、と押し付けて微笑んだ。
「いいだろ?もしも今からすることでまた命を授かれるなら、その成長に期待しよう。例え八人目がデキたとしてもその子が成人しても僕らはまだまだ若い方じゃん?」
『でも、』
「オマエは僕の元に嫁入りしたんだ、出会った頃の当初のキミとは違い生き方をちゃんと学んでいるだろ。
長生きして、子供たちに囲まれて幸せに人生を閉じていく……
なあ、ハルカ。僕はそういう未来に出来るようにオマエの全てが欲しいって言ったんだけどな…?」