第40章 悔いのない人生を
ソファーにあるクッションを抱き寄せ、ぎゅっと抱き締めながら左右にごろごろする成人男性。あんたは恋に悩むJKか?クッションハグからのゴロゴロなんて漫画の世界だけかと思ってたわ。
前に踏み出せずずっと駄々をこねる悟にそろそろ引き摺って連れ出すか?まで考えていた所で駄々っ子フェイスは急ににやりと笑窪を作って口角を上げてる。嫌な予感しかしない。
「そうだ、えっちしよう」
『なに、京都のコマーショル…?急だなあ~…えっ…今悟の脳内でどんな革命起こったの……?逆に心配になるんだけど…』
心変わりは元から激しいけれど人格が変わったみたいにコロッと豹変したから驚けば、悟は上半身を起こし得意げな顔して鼻の下を指でスコスコと擦ってる。
「いやさー…任務っつったら僕も真面目に仕事モードになるからしばらく会えないだろうし?
今子供たち皆義務教育受けに行ってるだろ?だから家には僕とオマエでふたりっきり……
つまりはひっさしぶりの、ふたりだけの世界でしょ?何も起こらないワケがないと思いません?ん?」
ソファーに座る悟の隣に腰掛ける。そりゃあ皆サボらず真面目に学校行ってますし、そのおかげで私達も快適に高専に仕事に通ったり、悟も任務や短期の出張に行けたりするわけで……。
『だからって今?』
「うん、今」
『出張から帰ってからのご褒美、』
「ナーウ!今じゃないと駄目、今すぐしよ?」
キリッ、とキメ顔をする彼を見て、これは本気だな、と思った。
けどさ、いざするとなればテキトーに済ますのは頂けない。ただの性欲の処理じゃなくてしっかりと愛し合いたいし、それに見合った飾るもので雰囲気ごとえっちを楽しみたいじゃんか。
……今、私可愛い下着、着てましたっけ?
ほんわほんわと思い出せば間違いなくベージュのなにかだったような。
『……あの、良きヴィジュアルの下着じゃないんですが?』
着やすさ重視で昨日、風呂上がりに身に着けてた気がするなー…と自身を抱きながら悟を見ると、後頭部をポリポリと掻いて「あー…」と言葉を漏らしてる。