第40章 悔いのない人生を
『わざわざピエロみたいに動作を大げさにしなくたって良いのに……』
"ふふ…っ!これでとりあえずは私も色々試してみるけれど。あんたはここに早く来ちゃ駄目よ?長生きしてから来る事ね"
私の母ながら陽気な人だけど。私が死んでここに来るまでに少なくともゆめかわな風景とか世紀末度が増してこれよりもぐちゃぐちゃになってるカオスな空間に変化してるって事はないと思う……多分。
納得いかないけれど一応、こくんと頷いて娘の顔色を覗く。悟もじっと何か異常は無いか?と娘の様子を見ていた。
「……これで譲渡は終わり、ね…」
『何か変化を感じる?二人共……』
平気そうな顔してるけど心配だ、見えないから本人が口に出したり悟が変化を見つけ出さない限り。
当人や六眼で変化はあるか、と聞けば両者頷き、悟は鎹の頭をわしゃ、と撫でながら「身体に恵のような術式回路が刻まれた」と言い、鎹は「後で見せてあげる!」と特に痛む素振りなどなく、心配していた事にはならなくて無事に譲渡は完了して…。
──あとは、私が寿命を全うしてここにくるだけか。
領域展開からの解除をする中で私は一度だけ、白装束の皆を振り返って、来る前と変わらない、死後の世界よりは明るくてマシな春日家の墓地へと私達は戻っていった。